こんなに扉を開け閉めする映画は初めて観た。ラストも扉を開けることによって高揚感がやって来る。
人の出入りと往来が尋常じゃなく激しい。それでもこんなに見やすいのは動線と照明がバッチリ決まってるからだし、ホラー映画かと見間違うような画面の色調も素晴らしい。
若干冗長な感じはあるものの、田中絹代が場にそぐわないピアノの旋律を耳にする→音を追う→目撃してしまう、というシークエンスが良い。終盤の、三者を真正面から捉えるクローズアップもパワフル。
例えばミラ・ジョボヴィッチが敵の罠にハマり宙づりになるシーン。
なんで宙づりになったのかというと物語的には関係なくて、ただ宙づりでの無双アクションが見せたいから、という理由しかない。
てな感じで、最終>>続きを読む
この物語の内に内に入っていく感覚。もっと驚きをもって撮ってほしい。
ことさらに「円」というイメージが強調される。
最初の戦闘シーンから、ラストシーンまで。事故のシーンも車は円を描きながら落下する。
ホラー上がりの監督だけあって、奇天烈なアイデアもあって楽しい。魂が抜け>>続きを読む
ここいらで一回レフンを否定するべきでは。
モデルであるエル・ファニングが初めてウォーキングを披露して見初められるシーンは当然彼女のウォーキングが大事になるはずなのに、まさかの横顔しか映さない。
結果>>続きを読む
予算の問題なのか、熱量のあるものを撮りたかったのかよくわからんが、単純に顔のアップと近景のショットが多すぎ。画面が窒息している。
物を投げるシーンでもいちいちカットを割ったりとか、ちょっとノレない。
子守唄を唄うオオカミ、反復されるイメージ、それは夢か悪夢か。
無知を承知で言えば非常にタルコフスキーに通ずる部分が多いように思えたし、正直言って言語化不可能という一言で逃げたい。ただただ素晴らしかった>>続きを読む
わからない。わからないけれど、なんだかとても映画的な気がする。
霧の中を彷徨うハリネズミ、白馬が、こうもりが、何かが現れては消え、クマと一緒に夜空を見上げる。恐ろしく濃厚な10分間。
淡い、まるで現れてはなくなるシミのような花火のシーンが死ぬほど美しい。雨も。
西洋とも東洋ともつかない絵、童話感が魅力的だった。
「キツネとウサギ」ってまさか『ズートピア』の元ネタ…なんでしょうか?
フレスコ画というちょっと今まで見た事ない異様な雰囲気、ヒビ割れといった独特の質感。
黒い切り絵の(ような)人物がキラリと光る場面はホラー。子供もいたけど大丈夫だったんかな。どの作品もドリーミー/悪夢が>>続きを読む
前半は「これ映画なの?」というレベルで静的で戸惑い(気を抜いてウトウト)、後半は後半で謎にカメラ目線のバァさん、ブラックホールの如き排気口に背筋が凍る。本気で怖い。ラストはほんわか。なんじゃこりゃ。>>続きを読む
これはバカに出来ない出来!
盲目軍人との密室の戦い/逃亡となれば、サスペンス/アクションは音や光、隠れる、扉の開け閉めといった極度にシンプルなものになる。が、これが功を奏している。
舞台装置の『家』が>>続きを読む
デパルマ版『スカーフェイス』と比べるとなんとなくヘイズコード以降以前というのがわかるような。(正式には施行以前だが)
見せるデパルマと見せないホークス、役者の怪演が支えた前者と監督の演出が光る後者。>>続きを読む
『ツリー・オブ・ライフ』より更に一歩押し進めた極上のアンビエントムービー。水とマジックアワーへの執着。堪らん。
お話は全然わかりませんでしたが、クリスチャン・ベイルと美女がたくさん出ていました。
こんないったい何番煎じなんだというストーリーでも、フツーにおもしろい映画に仕上がっているのは監督の力量では。
何回も繰り返さる視線のやり取りがスマートだし、常に優しい「光」が画面を支えているのもいい。>>続きを読む
ちょ、ちょーおもしろい。
「追う」「追われる」という古典中の古典のプロットが、「夜の街」「雨」「車のテールランプ」「炎」「森の木漏れ日」などを美しく介在させることで、エモーショナルなドラマ部分を「写真>>続きを読む
⑫
これは不思議な映画。
現代の資本主義社会を皮肉った~とかいう話はもちろん置いといたとして、この映画、とにかく登場人物が走る走る。(もしくは車を走らせる。)
それはなぜかというと時間がないからである>>続きを読む
色彩感覚が良い。
雪上を走る列車、青いセーターを着たジュリエッタが真っ赤な席に腰掛ける。全編、色が画面を引っ張る。
ただ、中盤以降物語のトーンが重くなると同時に話運びも重くなってしまった印象なのが残念>>続きを読む
色々あって物語のラスト、男女2人の顔を切り返す、このショットがなんでこうもサスペンスもドラマも生まないのか。(君の名は。もそうだった)
このデヴィッド・イェーツって監督は飲みに行っても決っっっして映画>>続きを読む
⑪
多くのシネフィルがヒッチコックベストと断言してやまない本作。満を持して観てみましたが、なるほどこれは異常。
全てのシーンがサスペンスとして強烈に成り立っていて、ヒッチコックの他の作品と比べても段違>>続きを読む
⑩
ものすんごい熱量と力量で撮られている。
少年が少女とともに虐殺された故郷に帰ってからそこを飛び出し沼地に突っ込む一連のシーンが強烈。
クローズアップは必ず正面から。
こんなことが今のアレッポでも起>>続きを読む
⑨
カーペンターの映画において、「教会」=「あの世界」と「この世界」の境目。物語を進めるのがラジオというのも良い。
センスだけで映画は撮れてしまうらしい。
⑧
幾重もの人間模様を90分足らずで完全に描ききってしまう手腕。これが遺作とは…。
「光」を意識して画面が撮られていて、SW史上最も美しい仕上がりになっている。撮影監督は『ゼロ・ダーク・サーティ』の人か、、
「希望」が「設計図」として可視化され、人々が追い求めタスキのように渡っていく>>続きを読む
今年一優しい映画。
体育会系だって文化系だって、ディスコで踊る奴もパンクに狂う奴も、素直な奴も和を乱す変わり者も、先輩も後輩も、みんながただただ楽しく(ばか)やっている。ただそれだけ。ただそれだけだけ>>続きを読む
⑥
初カサヴェテス。ロケーションとか色彩とか時折見せる構図には痺れざるを得ない。故にこれがこの人のベストではないはず…。
⑤
再見。
なんて映画。男と女の、ロードムービーの、ノワールの、全てのエッセンスがここに刻まれている気がする。ラストカットの(こんな撮り方は絶対に凡人では思いつかないはず、そして絶対に映画でしかできな>>続きを読む
幽霊が住まう古びた屋敷が、世界最古の写真技術が、時代の波に追いやられるのは実際に監督が抱いている危機感なのではないかというのは強引にしても、しかし黒沢清は世界最古の映画である『工場の出口』をよく話で持>>続きを読む
直接的な描写はなるたけ避け、アニメーション的な省略によってあくまで普遍的な庶民生活に徹するさまは清々しい。
笑いが沸き起こる場内でほとんど笑えなかった自分に自己嫌悪。