SatoEmikoさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

SatoEmiko

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THE LOOP ザ・ループ ~永遠の夏休み~(2012年製作の映画)

1.0

ループものの典型。それこそ、"ザ・ループ"。
邦題による盛大なネタバレが更に退屈を煽る。B級のギャグとして楽しむのもちょっと厳しかった…。

ニーチェの馬(2011年製作の映画)

4.2

淡々と繰り返される日々の中で着実に進む終焉。
葉を砂を巻き上げ、ごうごうと吹き荒れる風。弱り行くものいわぬ馬。終わりがすぐそこまで迫ってくる、耐え難いほどの緊張感。
過酷な日々を懸命に生きているうちに
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ラガーン(2001年製作の映画)

4.3

長いとわかっていたので、息子が昼寝している間に少し見て、自分も寝るつもりが…気がつけば息子が起き出すまでしっかり見入ってしまった。
スポ魂もミュージカルもあまり好きではないはずなのに、どっぷり。

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イン・ディス・ワールド(2002年製作の映画)

3.8

難民の少年がたどった、パキスタンからロンドンへの命をかけた亡命の長い長い旅路。
この世界で、この瞬間も繰り広げられている過酷な現実。

それを、この世界に共に生きる人たちに知らせたいという力強い想いに
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パレルモ・シューティング(2008年製作の映画)

3.3

真実を写すこと、描くことについての映像の映像。
デジタルに魂を売って、写真に修正に修正を重ね事実を曲げる写真家の主人公。"死神"に追われる彼が出会うのは、絵画の修復家の女性。
アナログの写真、デジタル
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呪われたジェシカ(1971年製作の映画)

4.3

霊的なものの仕業なのか、彼女の病の創り出す妄想なのか、それとも人間の悪意の為せる業なのか…

主人公ジェシカの引きつった表情から、彼女を取り巻く人、物、音…すべでが不安定な不気味さが終始、濃霧のように
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美しき諍い女(いさかいめ)(1991年製作の映画)

5.0

画家とモデル、出会わなければ生まれなかった作品、出会わなければ直視せずに済んだ事実、出会わなければ知らずに済んだ自分の本当の姿。

妙にリアルな映画で、
暗く閉鎖的なアトリエでのまるで戦っているかのよ
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きっと、うまくいく(2009年製作の映画)

5.0

笑って、泣いて、悔しくなって、切なくなって、また笑って…こんなに全ての感情を揺すぶられる映画にはなかなか出会ったことがない。
気がつけば「オールイーズウェール!」と一緒に歌い出したくなってしまいそうな
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マップ・トゥ・ザ・スターズ(2014年製作の映画)

4.0

嘘と罪と欲にまみれたハリウッドで、断ち切れない親の呪縛によって輝き、消えていくものたち。

クローネンバーグのかつての視覚的なグロさも好きだけど、最近の精神に攻めてくる心理的なグロさはもっと好き。
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ジェラシー(1979年製作の映画)

4.3

大切なものを失う瞬間の、もう失うことは確実であるとわかっていながらも何とかして手の内に留めようと苦しみもがく、あの嫌な感情をを延々と引き伸ばして見せつけられているような映画。

懸命に積み上げてきたも
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アンナ・オズ(1996年製作の映画)

4.3

夢が現実を食い潰そうとする。

ヴェニスの怪しく綺麗な風景に、 子どもみたいに線が細いのに色っぽくつかみ所のないシャルロット・ゲンズブール、鮮やかな色彩の映像と、ラテンぽい音楽に魅せられて、この不安
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LOUISE (TAKE2)(1998年製作の映画)

4.2

非日常を追いかけてパリを不良仲間と気ままにさまようルイーズ。
ルイーズが地下鉄でレミというホームレスの青年と出会って…。
パリという街のリアリティ、イメージの美しさをとらえる手ブレのような映像で、
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風の痛み(2001年製作の映画)

3.5

過去を捨て、国を捨てた一人の男。
逃げた先の土地で15年勤めている時計工場。
毎朝5時に起きて、バスに乗り工場へ、体だけの彼女…
故郷も家族も、お金もなく。
感情も情熱も愛情すらもないようにみ
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陽のあたる場所から(2003年製作の映画)

3.2

言葉以上の壁。それはほんの些細だけど、至る所に存在する物。理想と現実の間に、文化と文化の間に、個人と個人の間に立ちはばかる大きな壁。
自分にとって、自分の文化にとって正義であるからといって、この壁を
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サンタ・サングレ/聖なる血(1989年製作の映画)

4.8

ホドロフスキーの他の先品に比べるとかなり分かりやすいストーリーだけど、同じくらい強い魔力を持っていることは間違いない。
何年も前に観たのに、精神的な吐き気を催させるのに、鮮やかで美しい世界はずっと脳裏
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僕がいない場所(2005年製作の映画)

4.0

母親からも拒絶されてしまった一人ぼっちの僕。それでも何とか生きようと、一人捨てられた船の中で生活を始める。

同じく愛されることを知らずに育ったのであろう、男ばかりを求める母。
僕の家庭環境も、一人船
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SHAME シェイム(2011年製作の映画)

4.2

性依存の主人公と、他人に過度に依存的で自傷歴のある妹。
一番「恥じ」ているのは自分自身で、恥だと思えば思うほどに辞められず、辞められないほどに羞恥心は募り、自己懲罰的にさらに加速する依存…抜けられない
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メゾン ある娼館の記憶(2011年製作の映画)

4.5

20世紀初頭パリの高級娼館に生きる美しくも儚い女たちの物語。
妊娠、性病、暴力と常に危険に身を晒しながら、いつか自分たちを縛る娼館から飛び出す日を夢見て、暗がりの中その一番美しい時期を男たちに捧げる彼
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羊たちの沈黙(1990年製作の映画)

5.0

何度見ても色褪せない緊張感。恐ろしいのに吸い込まれてしまう不思議な魔力のある映画だと思う。数々のセリフ、表情、シーンが脳裏に焼き付いている。
私を映画好きに、英語好きにさせた映画。この映画と出会わなけ
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あの夏の子供たち(2009年製作の映画)

4.0

ある一家に訪れる幸福と不幸、再生を静かに描いた映画。
前半でたっぷりと描かれる、何気ない毎日に満ちた幸せと、父の自殺で幕を開ける後半の残された者たちの再スタートの物語。
引き金を引く、たった一瞬の動作
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惑星ソラリス(1972年製作の映画)

5.0

タルコフスキーの、綺麗な世界に霧のようにひろがっている死とノスタルジーと、現実と幻想の淵に漂う世界観が好き。一度見たら虜になってしまう。
「惑星のソラリス」は私は特に怖いと感じる一本。
ソラリスの力で
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サイコ リバース(2010年製作の映画)

4.0

母親から虐待を受けた過去を持ちながらも、ひっそりと銀行で働きながら生きるジョン。脱線した列車が家の庭に突っ込んで来たことから、彼の静かな生活が狂い出してしまう。

ジョンにはエマという女性の人格がいる
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オールモスト・ブルー(2000年製作の映画)

4.5

殺したものになりすましては、また次の殺人を犯す連続殺人鬼。それを追う女刑事と、目が見えず音を色で感じる青年。
よくありがちといえば、ありがちなサイコスリラーだけど、犯人については淡々と犯行のみを描き、
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セリーヌとジュリーは舟でゆく(1974年製作の映画)

5.0

唐突に始まる街中でのセリーヌとジュリーの追いかけっこは、唐突に始まる二人の同居生活で終わり、飴を舐めると観られる劇中劇が唐突に始まり、そして唐突に再開する二人の追いかけっこ。セリーヌとジュリーが入れ替>>続きを読む

犯罪「幸運」(2012年製作の映画)

3.6

愛することの強さと愛を失うことの恐怖の強さ。
不運が重なった末に出会った娼婦とホームレスの二人。二人が幸運にも出会い愛し合ってしまったが故の不運な事件。ただただ、今この瞬間の幸せに必死にしがみつこうと
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クリスティ(2014年製作の映画)

2.3

感謝祭に一人大学に残ることになった女子大生が、謎の殺人カルト教団に狙われて…
教団のこととか色々と細かいことは抜きにして「命懸けのかくれんぼ」を見ていると思えば割合楽しめました。
ただ、この途中から追
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レプリカ(2012年製作の映画)

2.2

ファニーゲーム云々については、ハイプだろうからあまり期待しないようにはしていたけど、やっぱりちょっと残念。
もう何度目かという予定調和な展開に、もっと生かせたはずの置いてきぼりの設定が、撮り方に雰囲気
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美しき冒険旅行(1971年製作の映画)

4.2

子どもと大人、自然と文明のコントラストと、その間の曖昧さの美しさが印象的。
突然の父の自殺により、広大なオーストラリアの砂漠をさまようことになった幼い弟と恐らく思春期の姉。
歩みを進めていくたびに文明
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湖のほとりで(2007年製作の映画)

3.4

ミステリーというより、小さな村の人々一人一人の人間ドラマ。
豊かな自然に囲まれた美しい村に生きる村人たちがそれぞれひっそりと抱えて生きてきた愛ゆえの苦悩と秘密が少しずつ、そっと明らかになっていく不思議
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がんばれ、リアム(2000年製作の映画)

4.0

1日1日純粋に一生懸命生きるリアムの目で見た第二次大戦に突き進んでいくリバプール。
吃音気味で思うように話せないし、お説教の地獄は怖いし、家は貧乏だし足掻けば足掻くほど悪化しつづける家の中と、外の世界
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ビューティフル(2009年製作の映画)

3.3

閑静な住宅街、綺麗なお家の中に秘められた秘密。閉ざされた壁の中の秘密の真実は、結局のところ外の者にはしる由もない。都市伝説の都市伝説の話。
テーマとしてもありがちだし、結末も予想通りではあるけれど、演
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ペーパーハウス/霊少女(1988年製作の映画)

3.7

ホラーというより、サイコロジカルファンタジーかな?
絵を描いては、その世界に入っていくことを妄想ばかりしていた子どもだった私には、どストライクのストーリー。
観ていて胸がチクチクするような思春期の心と
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囚われの女(1968年製作の映画)

3.5

ある男の出会いによってSM的な倒錯した世界に、葛藤しながらも飲み込まれていく女と、初めこそ主導権を握り精神的に主人公を支配していたものの、最終的には女の愛によって逆に囚われていく男。
お互いの自分の中
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トム・アット・ザ・ファーム(2013年製作の映画)

4.0

ねじ伏せて来た愛への渇望に縛られて、逃げることのできない悲しい男たちの姿がやるせなさすぎる。
愛されるためには暴力による支配しか手段のない男と、痛めつけられてでも服従するしか手段のない主人公。
みんな
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ブラック・ムーン(1975年製作の映画)

4.2

大好きな映画の一つ。
ひどくシュールで始まりも終わりもないような夢の世界。
絵画や本の中に入ってしまったような気分に似た映画。入り込んでしまえば、どれもこれも怪しげな美しい世界にゾクゾクする。

この自由な世界で(2007年製作の映画)

4.0

ただ自分の息子を"幸せ"にしたかっただけのはずなのに。"幸せ"を追い求めれば求める程、足元に積もって行く"犠牲者"の山。その山を踏みしめて、越えてはいけないラインを越えていく主人公。

ある意味聖者の
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