平田一

セントールの悩みの平田一のレビュー・感想・評価

セントールの悩み(2017年製作のアニメ)
3.9
“あなたのとなりに、セントール。”

村山慶さん原作の同名漫画をアニメ化した不可思議日常ファンタジー。様々な形態の人類が生活している世界を舞台に女子高生たちの日常が描かれる。アニメーション制作は中国のアニメーション制作会社「絵梦(えもん)」。アニメ制作協力にはエンカレッジフィルムズ。

君原姫乃はごく普通の女子高生である。周りの友人たちと楽しい高校生活を送っている。ケンタウロスであることも日常の一つだった―――。

正直、以前絵梦さんの「縁結びの妖狐ちゃん」が後悔するほどつまらなくってこれも期待はせずでした。当時は22時頃から25時までMXのアニメ時間を堪能するのが一つのルーティンだったので。

ですがまったく嬉しいことに、良い裏切りアニメです。ケンタウロスとかあらゆる民族が混在する世界の時点でごく普通の日常アニメで無いのは分かっていましたが、うまくそこの特別視を避けていたのがまず良いです。節々にディストピア世界を仄めかしたりと、油断ならない世界観であるのもとっても良かったです。

しかし一番響いたのは第9話「世間で偉人って言われている人の苦悩って。」と「世間で偉人って言われている人の人生って。」になりますね。これは姫乃ちゃんたちが主人公の回では無くて、両生類人と会長が主人公のお話です。詳しい話は伏せますが、善意は新たな善意へとバトンのように継がれてく……そんな重く、救いに溢れた物語になっています。これは今混迷の時代に響いていくのでは?

これぞ隠れた傑作ってボクはオススメしたいです。何気ないとこに現代への先駆け的なところもあるし、作者の村上慶さんの他の話も気になります!
平田一

平田一