ユウ

ぼくらののユウのネタバレレビュー・内容・結末

ぼくらの(2007年製作のアニメ)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

もう何度目かわからないほどやられている鬱ロボットアニメの一作。

原作漫画は元々、魔法少女ものを執筆する予定だったそうだが、強い力をなんの対価もなく得られる魔法少女という設定自体に作者の鬼頭莫宏が嫌悪感を抱き、「主人公たちは折角だからみんな殺そう!!」という重すぎる対価を思いついたことから、生まれたのが本作。
結果、操縦したら死ぬロボットという、「同胞を守って死ねるんだ、最高だろ?」な代物が出来上がった。

魔法少女ものとして構想された影はコエムシというナビゲーターマスコット(?)が登場するくらいで、一掃されている。
自機のジアースは強い機体(作中ではヌイグルミと呼称される)であるものの、移動の遅さと索敵能力の低さ、特異な武装を持たない点など、他の機体に比べて見劣りする部分も多い。
近接戦闘は殴りについてはそもそも腕が長過ぎて苦手、キックは強力だが滅多に使われない。
射撃武器はまず効かない粒子ビーム砲のみ。
長い腕での刺突が強力だが実際の見せ場はあんまりない。
対してかなり小回りが効くことと、人型をしているため動きに融通が効きやすいのが長所。主人公たちはその融通性を活かして勝利することが多い。

ちなみに敵のヌイグルミには、格闘武器を持っていないとか、逆に基本装備の粒子ビームすらないとか、どこにあるかわからない敵のコクピット目掛け手当たり次第に突き刺して濃硫酸を流し込むとか、そもそもどうやって戦うのか不明とか、トガりすぎてるやつらもいる。

またこのアニメの特色として、映像としての動きが遅いという点がある。ヌイグルミたちがかなり巨大なことにより、「何気ない挙動で簡単に音速を超える」という原作でのオマケ注釈を反映したためこのように。

相対する敵達は並行世界の人類。負けた側は宇宙ごと消滅。ちなみにアニメ、漫画、小説はそれぞれ並行世界の同一人物たちが主人公。彼らが相争うことがないのは幸いだが、一周勝ち抜いたから未来永劫無事というわけではなく、勝ち抜き戦形式で再びゲームが始まることもあり得るらしい。
これだけやって報われないことこの上ない。

ちなみに原作では完遂された「折角だからみんな殺そう」は未遂に終わっている。
未遂に終わってるので減点だ!!
アニメ監督が原作嫌いだったから残念ながら当然。
原作者はこの作品を描いていた当時を、あの頃は病んでいたと述懐しているが、ファンとしては「ならあんたいつでも病んでるよ!!」と思う。
あと早くマイルス描け。
ユウ

ユウ