都部

WORKING!!の都部のレビュー・感想・評価

WORKING!!(2010年製作のアニメ)
3.5
『サーバント・サービス』がそれなりに面白かったので作者繋がりで手に取る──高津作品の傾向として見られる、特定の職種を題材としながらもあくまでもそれは舞台として用意された場に過ぎず、物語のメインはそこで交わされる人間関係の様相とコミカルな掛け合いの数々であり、本作もまたその例に従った作品の一つというのが第一印象だ。

快活なロリ巨乳先輩キャラクターとして配置された種島ぽぷらを入口として、それぞれが一風変わった店員達の個性の配分はしかしながらよく考えられており、日常を描く作品の枠を出ないという前提の下に噛み合わせよくキャラクター同士の融和によるアンサンブルが奏でられる作りになっているのは感心する。サバサビにも感じた異様な見易さ/呑み込みやすさの要因として恐らくこの点は大きく、着実にキャラクターに対する愛着を持たせる語り口が機能しているようだ。

6話まで状況のある種 膠着状態が見られたが、追加要素の山田が場を良い具合に掻き乱して前半と後半の内容に変調を齎しているのも役回りとして美味しく、その割に既存の面子にピタリと嵌るキャラクター性でビックリする。七話の段階でさも一話から既に居ましたみたいなハマり具合だ。幾らなんでもお前馴染みすぎだろ、と言いたくなるがこの手の嵌るキャラクターの造形の構築手順は素直に興味関心が惹かれるというものだ。

物語は群像的でありながらも、主題としては男性恐怖症を克服しようとする伊波まひると小鳥遊の交流にあり、この『恐怖症』に対するデフォルメ化された描写と経緯には賛否あるものの緩慢さが取り柄の日常劇に一貫した筋を持たせることには成功していて、1クールアニメとしての締りが感じられる作りなのは良かった。
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