都部

僕は友達が少ないの都部のレビュー・感想・評価

僕は友達が少ない(2011年製作のアニメ)
3.3
友人に恵まれない残念な人間達が居心地の良い場所を得て、"友人が出来た時の為の予行練習"という名目の下に友人関係を育んでいく姿は苦笑いを伴う残念な心地よさがあり、交わされる遠慮のないノーガードな遣り取りが作品としての面白さに繋がっている印象が大いにある。

距離感や接し方をとにかく間違い続けるヒロインズの青々とした擦れ違いはメタ的に目にすれば年齢相応のそれであると流せるが、作中では完全に薄氷の上で不器用な舞踊を踊っているに等しい。

特に とある目的を果たすために隣人部を創設した三日月夜空はパンチの効いた嫌な奴を演じている。かような分かりやすいヘイト役に腹を立てることはないが、対比する存在として置かれる柏崎星奈が真っ当に良い娘──残念さの補填としてエロゲ趣味が加わるがチャーミングさとして消化可能な残念さである──なので、夜空の物言いの苛烈さが際立つのは良くも悪くも面白かった。

個人的に好ましかったヒロインは幸村その人で、奥ゆかしい舎弟的な語り手に都合が良すぎる女性像を男の娘が健気に演じる姿には無類のいじらしさが感じられ、それだけに2期で明らかになる事実には酷くガッカリさせられた。男の娘に従者たるメイドの格好させるの最高なんだよな。

品性に欠けると感じる引用やパロディネタの応酬は、彼らが年相応に痛々しい高校生であることを認識させるので心持ちとしての良し悪しはあるが、作劇上まったくの無駄でないことは明白であるので必要な描写として呑み込める。やはり好みではないけれど。
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