都部

中二病でも恋がしたい!戀の都部のレビュー・感想・評価

中二病でも恋がしたい!戀(2014年製作のアニメ)
3.2
交際関係を開始した六花&富樫と彼女達を取り巻く面々の日常を描く本作は、因縁の綺麗な解消を経たことで新たに必要となる葛藤を"昔の女"の到来により補填しているが、三角関係未満の関係性は問題の間延びを感じさせる上にそれに対する物語としての解答の歯切れの悪さが全体の鈍化に繋がっている印象は拭えない。

この作品 キャラクターの個性とその配置自体は完成されているので、学生が行き当たる等身大の青き問題とは無縁の日常劇でも全然見れることは見れるのだが、前期と比較すると作品として締まりに欠けているのは事実で一貫した物語というよりは短編集を読み漁るような散文的な味わいがあった。卑近な恋愛関係に身を置くことで、アイデンティティであったはずの厨二病が自分の中から喪失していく感覚への焦燥という切り口は面白い。面白いが前期の終盤で問題となった選択権のない剥奪による個性の喪失とはぜんぜん話が違うわけで、六花の抱える問題意識の共有が一方通行のそれとして処理され、最終的に冨樫が受け止めるという構図はどことなくマンネリズムを感じさせるオチだったように思う。

仮にそれが小さな小さな一歩であるとしても、人それぞれの微小な変化を肯定する形で六花の中二病と末永く付き合うという決意の表明は感動的だが『またそれかよ』感があるし、そのテーマの割に関係性の進展はそもそも小さな一歩すら本当に踏み出しているのかと苦言を呈したくなるスロウリィさだ。頑なにキスしねぇなコイツら……。その代替行為として鼻と鼻を合わせるキスが作中で提示されたが、それやるならもうキスで良いだろと野次を飛ばす視聴者が私だった。
都部

都部