宮崎駿の初監督作品として有名な本作を初鑑賞。初期の宮崎作品らしい大活劇譚であり、また初恋物語である。お話は終盤にいくほど面白さが加速度的に増していく辺りさすが。高畑勲が演出した中盤の数話の、島の人々の生活描写の濃やかさが、活劇に偏りがちなお話をうまくバランスさせる役目を果たしていて実に行き届いている。滅法面白いのは確かなのではあるけれど、物語全体が大アクションありきに作られている感じだったり、主人公コナンの超人的な身体能力がいくら何でもあり得ないレベルだったり、序盤がヒロインの奪い合いに終始してやや退屈だったりするのが、個人的には幾らか興趣を削がれぬこともない。とは言えそんなお話だからこそ子どもたちを夢中にさせてやまないのだろう。
