空中ブランコの3の情報・感想・評価

エピソード03
恋愛小説家
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あらすじ
「性欲は善」と放言する星山純一はベストセラーを連発する恋愛小説家。しかしその陰で執筆中に「似た作品を前に書いた」と疑心にかられると嘔吐してしまう症状に苦しんでいた。伊良部はむかつきの原因究明と除去で治ると言うが、純一は作家特有のストレスと考え取り合わない。そんなある日純一は友人の義雄から自分の小説がパターン芸だと言われる。一方、伊良部は作家転身を宣言し、編集者を紹介しろとしつこく純一に迫る。
コメント2件
きよひ

きよひ

3.5点
笠置サバ緒

笠置サバ緒

このコメントはネタバレを含みます

症状 強迫神経症 (心因性嘔吐症) ★「どうも、福井っちです。ストレスを上手く発散できない時に嘔吐神経が反応して症状が出ると考えられています。小学校までの幼児に多くみられる症状で、自家中毒という名前で知られています」 「マユミちゃん、知ってる?この人有名人?お返事は?」「私ロッキンオンしか読まないから」 人間のために無精卵を生み続ける家畜…ニワトリ 「ああ、嘔吐症ね。ようするにムカつくことがあると吐いちゃうわけ。だからムカつく原因をハッキリさせればいいわけよ!」 ★「原因究明とその除去。精神医学の基本だよね」「なるほど」「それが仕事なら仕事をやめる。近所付き合いなら引っ越す。対人関係なら消えてもらう」「それができないから悩むんでしょ!」「一服盛る?いい薬教えるよ?グフフッ」 ★「実は記憶がおかしくなるというか、書こうとすると過去に使ったネタじゃないかって不安に…」「それなら記憶の問題じゃないよ。強迫症だよ」「強迫症?」「鍵掛けたのに掛け忘れたんじゃないかって不安になる。この間もスポーツライターの人が来たなあ」「嘔吐症のうえに強迫症…」…「強迫神経症には衛生面がやたら気になる不潔強迫、尖った物が怖くなる先端強迫など様々なものがあります。ジュンイチは繰り返し確認せずにはいられない確認強迫ですね。福井っちでした」…「どうしたんだ僕は…」「しばらく休んだら?見たところ金持ちそうだし」「気安く言わないでほしいな。将来の補償なんて何もない世界なんだ。恋愛小説家として復帰を決めたばかりなのに、もう休むなんて絶対にできない」 ★「嘔吐症と根っこは一緒なんだよ。吐き出すべき感情を溜めるから胃の中身が代わりに出ちゃうわけ。強迫症もその延長」「じゃあどうすれば…」「夜空に向かって人の悪口を怒鳴りまくっちゃおー!」「んなことして警察にでも通報されたら…」「うーん、そうだなあ。誰かに溜まった中身を打ち明けるだけでも違うけどねえ」 「大丈夫か?この間の電話の時から少し変だぞ」「過労だよ。抱えている本数が本数だからどのネタ使ったか忘れるらしい」「ま、パターンだしなあ」「パターン言うなて…」「お前は元々、真面目な文学青年だもんなあ。ハッキリ言う。〝明日〟っていう小説、あれでお前は家族の崩壊と再生っていう重たい話を書ききったと思うよ。あの本からはお前の意地と情熱がビンビン伝わってきた。あれは純文学の傑作だよ」「でも…売れなかった」「初版1万で贅沢言うな!地味なお前がまるっきり想像だけでSEX書いて、ほんと童貞野郎のクセに十分頑張ってきたよ!なあ!」 ★「書こうとするだけで不安に迫られ、すぐ吐いてしまうようになって…」「鳥山さんの場合、ルーティンワークが強迫観念を引き起こしてると思うよ」「ルーティンワーク?」「ジジイと若い娘のパターン小説、量産してるでしょ?」「老人と組みシリーズは僕の看板作品なんです。だから…」「だから、その看板を下ろすわけ」「けど、僕が書いて売れるのはそっちなんだ…そうじゃない本は求められてないんだよ」「これ(あした)グフフフフッ」 ★「スタミナ不足じゃ女も小説も上手くやれんぞ。星山くんは今、1日何回SEXしとるだ」「お陰様で今は小説が忙しくて週…」「週?貴様やっぱり偽者だったな!俺には分かる!SEXどころか恋愛小説にも興味ないんだろ!本当は嫌々書いてるんだな!」「嫌々なんて書いてない!締切りだって一度も破ったことないんですから!」「SEXのためなら締め切り破りまくるくらいが本物なんだよ!」「だったらなんだ!僕はプロだ、職人だ、エンターテイナーだ!僕が恋愛小説をどんだけ必死で一作一作書いてきたか!今のあんたには稼げない部数と印税がハッキリ証明してんだよ!」「あれ、どこ行くんです?」「休止撤回。原稿仕上げてくる」「ヘッ、次はどんな組み合わせだ」「あんたを書いてやる。隠居寸前の落ちぶれた老いぼれエロ作家だよ!」…「星山くん、執筆は〝心技体〟だよ。そんなひ弱では安普請な作品しか絶対に書けんわい!グハハハハッ」 「あの…〝あした〟書いた鳥山さんってあんたなんでしょ?」「…ああ、そうだけど。どうしたの?」「あれ、前に読んでた。小説読んで泣いたの…そん時が初めてだったから。そんだけ!…またああいうの書いて!」「恋愛小説も読んでよ!そっちも本気で書いてるからさ!」