ろいろい

ラーゼフォンのろいろいのレビュー・感想・評価

ラーゼフォン(2002年製作のアニメ)
4.0
"あなたは…あなたは噓つきだ"

■キャッチコピー
『美と神秘に彩られた究極のSFロボットアニメ』

■作品について
ボンズの制作のTVアニメ作品。
RahxephonのRahは“太陽神”、Phonがphoneから来た“声”もしくは“音”、間のXeは、『Xファイル』などのXで“未知”で、繋げて“神の未知なる声”という意味。

監督は出渕裕。彼が強く影響を受けた「勇者ライディーン」のオマージュ。
一時期「セカイ系」とも呼ばれた物語の類型に同じく当て嵌まることなどを根拠として本作品をエヴァに影響を受けた、いわゆる「ポスト・エヴァ」の系譜に連なる作品であると解釈する向きがあるが、そいいった声は未視聴層が多数を占めているらしい。

■感想
(もっと評価上げてもいいと思う反面もう少し評価下げておこうかな…と考えてしまう不思議な作品。)

誰もが幸せだけど誰もが幸せじゃなかった世界で、1人の少年と女性の、哀しくはあれども温かさを伴った恋物語。
ジャンルはロボット・SF・ラブストーリーTVアニメ。

放送開始当初は夕方に放送していて、後に深夜枠に移動した珍しいアニメ…
というよりかは不遇のアニメ作品ということで有名💦

劇場版作品かと見まごう程の美しい「作画」、重厚な設定に基づいた謎多き「世界観」、音楽をテーマにしているだけある絶品の「音」。
それらから奏でられる複雑な人間関係の、寂寥感さえ覚えてしまう哀しい恋物語は一見の価値がある!!

ロボットものと勘違いする人も多いようだけど、ロボットは幻想的な世界観のスパイス程度であり、
本作のメインは"恋愛"にある。

とにかく、限りなく絡み合った各キャラの本音と建て前の描き方が秀逸👍
美しい世界観とは裏腹に、気づかない程の演出と合わせて人の醜い部分が繊細に描かれている。

話の内容自体は設定なども含め難しく大人向け。
口頭の説明はほぼなく、描写でほとんどを説明している。
とは言え、各所にちりばめられた伏線や衒学的な設定はラストでしっかり回収されているのでご安心を。

実は本作、各話によってストーリーの個性がかなり違っている。
というのも、脚本家が各話変わっている。
それぞれの脚本家が、全体のために妥協をしていないので、前後で違和感を感じる箇所も多い。
それでも、一貫して絡まりあっていくストーリーはリレーのバトンがしっかりと引き継がれていった証拠。

ちなみに、皆さん好評の第19楽章「ブルーフレンド~Ticket to Nowhere~」は私も大好き!!
自分の宿命を薄々感じながらも、主人公と過ごす"今"をとても大切に大切にしながら、自分の本当の思いを告げられずに…
今となってはよくある演出とシーンだけど、当時観た人は最後のメッセージを見て震えたと思う。

ただ、ブルーフレンドのメイン女性はもっと前から綿密に物語に絡めるべき。
唐突にストーリーに絡んできた感が否めなかった。

ラストには全てが理解できるものの、謎を謎のまま進めていく展開なので、
しっかりと物語の描写を読み解いて、演出の意味を理解できない人には正直おススメできない。
理解しないで最終話を終えてしまうと生半可な感想しか最終的に出ない。

今から観ようと思っている方は
2体のゼフォンが闘う意味、そしてラストシーンの意味を考えて欲しい。
それが主人公の答えであり、私たちがどんな物語を観ていたのかの答えだから。


以下余談。
①「ラーゼフォンはブルーフレンドだけ観とけばOK!」みたいな風潮があるけど、全話通してしっかり見て欲しい。
というかブルーフレンドだけ見とけって作品に対しての冒涜でしかない。

②視聴した限りだと、「エヴァ」とは全くの別作品。
とは言え、「似ている」という人のこともわかる。
人によっては惹きつけられる設定が似ている箇所もあるし、気持ちもわかる。
俯瞰的に観れば雰囲気といい、所々似てる箇所はたしかに存在する。
が、全くと言っていい程の別作品。"パクリ"や"似ている"という発言は失礼に当たるレベル。
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