都部

デート・ア・ライブの都部のレビュー・感想・評価

デート・ア・ライブ(2013年製作のアニメ)
3.5
ギャルゲー×セカイ系のRemixを感じる作風は10年代のハーレム系ライトノベルの潮流をやはり汲んでおり、全12話という尺の中で手を変え品を変え多種多様なヒロインをテンポよく見せて行く景気の良さは一定以上の満足感を得られる構成なので概ね良かったです。

作中世界の事態の深刻性に引き摺られ過ぎない粗筋の馬鹿馬鹿しさもソフトなSFラノベとして楽しく思いましたし、尺が限られている為にキャラクターの掘り下げとしては最低限の域を出ていない印象ですが、ドラマの進行しない状況に覚えるダルさみたいな物は感じさせない塩梅で良いかなと。

順に各ヒロインのエピソードを振り返っていくと、

十香──最初のヒロインである為か、世界設定や主人公の設定の開示と個人としてのエピソードは弱いが入口としてはアリ。癖のないプリミティブに一喜一憂する爛漫な性格はとかく話を動かしやすそうで、十香の言動がドラマを動かすきっかけとなっていて、士道のメインヒロインとしての風格は足りないものの、作品のメインヒロインは張れている印象。

四糸乃──全体的なエピソードとしては弱さがあるものの、小動物的な立ち位置のヒロインとして一挙一動が可愛くて良かったですね。よしのんが喋る度に『パペットマペットかな?』と芸人の方の四糸乃がチラつくのが勝手極まるノイズでしたが、秀逸さを感じるキャラクターデザインが個人的にツボです。

狂三──『そりゃ人気になるわな!』という感じの立ち位置の美味しさ。厨二病的なセンスに優れた彼女の能力は無二で、基本的に本作の戦闘シークエンスに対して微塵も面白さを抱けない私からすると彼女の活躍シーンの数々は見た目も仕草も華やかで好ましかったです。テンポよく精霊の力を封印してきたからこそ、ここで立ち行かなくなる第三者が生まれるのは話全体の緩急の持たせ方としても的確だなと。

琴里──俺の嫁なので良かったです。


そんな感じで、戦闘やドラマ部分は及第点以上の満足度は更新しないものの、作品の魅力を的確に抑えたテンポの良い構成は小気味がよく、アニメとしてもそれなりに楽しめる作品なのではと思います。
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