このレビューはネタバレを含みます
富野監督によるいわゆる宇宙世紀のガンダムシリーズは「機動戦士Vガンダム」で終了し、そこから先に続いたのは「機動武闘伝Gガンダム」、「新機動戦記ガンダムW」、「機動新世紀ガンダムX」のいわゆる平成ガンダムシリーズです。
その中でも特にとりわけ地味で良い意味でも悪い意味でも影が薄いのがガンダムX。
で今回はこれをゆっくりと観了。
Vガンダムのように1話ずつではなくまとめてのレビューです。
全話レビューはそのうち上がるかも。
一つの宇宙コロニーの独立に端を発した紛争が地球連邦政府対宇宙移民者達の世界大戦へと発展。戦争は激化し数十基のコロニーが地球に堕ち、人類のほとんどが死に至る。
それから戦後十五年が過ぎた荒廃した地球が本作の舞台。
ファーストガンダムの別の結末みたいな感じです。アムロみたいなパイロットだったジャミルはニュータイプ能力を失って、同じ過ちを繰り返さないためにNTの保護を目指す、というのが1つの柱で、そこに絡んでガロードという少年とNTの少女ティファとのボーイ・ミーツ・ガール的なストーリーも1つの柱。
で、これが、北斗の拳みたいな荒廃した地上で、陸の海賊みたいなヤツらのなかを進んでいくのが前半。
まあ、地味です。ストーリーに派手さはないし、MSは一つも魅力的じゃないし。
主人公機のGX-9900はまあ良いんですが、コロニー撃滅用のサテライトキャノンを背負わしてしまったために、あんまり活躍できないんですよね(笑)。
使えば、一発で戦闘シーンが終わってしまうからおいそれとは使えないし、あまり出番ないまま、改修されてサテライトキャノンは封印。そうすると、特に特徴のない機体になってしまって、迫力不足。
後継のDXもサテライトキャノンを2本背負わせただけでやっぱり地味。
他のガンダムタイプといってもエアマスターや、レオパルドは正直、ガンダムWからのパクリで新鮮さゼロ。ヴァサーゴもガンダムWのシェンロンとエピオンの合成っぽいし、アシュタロンはただのヤドカリだし。
モブな機体達もデザインがイマイチ。
メカの点で言ってもやっぱりガンダムWは名作でしたね。
登場人物達もまあ地味です(笑)。
大人達はちゃんとした大人達で全然尖ってないし、物分かりの良い人達が多い印象。
これもガンダムWの濃いキャラ達に比べちゃうと全然ぺけです。
トラウマのせいでコックピット恐怖症とか言うそれなりにキャラの立っていたジャミルの中盤からはそれを克服してガンガン操縦しているのはテコ入れという名の迷走にしか思えません。
北斗の拳的な世界観にしてしまったせいで、世界情勢とかを導入するのが遅れたのもあって、中盤までは陸の海賊ヒャッハー的なストーリーばっかで、あんまり面白くなし。
正直、イルカの話とかあれはいらないでしょ。
評価できる点もちゃんとあります(笑)。
富野監督ですら持て余した「ニュータイプ論」について正面から描いて、ちゃんと結論まで導いてます。
宇宙世紀ではないからこそ、ここまでできたと思うし、「ニュータイプ能力者」≠「人の革新」という結論は、1つのきちんと終着したガンダム哲学だと思います。
それと番組としての構成は他にはない造りでよね。エンディング映像がそのまま次回予告で最後のセリフが次回のタイトル。
「私の愛馬は凶暴です」なんて斬新なタイトルは他シリーズではあり得ませんよね(笑)。
途中で放送短縮が決まったせいもあって全39話ですが、それでも間延びしてて、薄いエピソードも多く、やはり地味なガンダム。
ガンダム好きな方にもあんまりお勧めしない作品ですが、私は嫌いではないです(笑)。