※原作一部既読
天真爛漫な主人公の明日小路を中心に、己の憧れへ一歩前進する学園生活。
ずっと1人で過ごしてきた小学校時代。本人の性格もあり却って個の力が高まった小路。さほど接点が無い他人ともかなり近しい距離感、前のめりな姿勢。1人だけのセーラー服や持ち前の身体能力も相まって、その様子は周りから時折現実離れしたアイドルのようにも映る。
「自分には...」と知らずに引いていた境界線を取っ払う存在。
ただ、あくまで最終的に変えるのは自分自身であり、小路はそのきっかけを与えたに過ぎない。
序盤は各クラスメイトとの個別回で親睦を深め、終盤ではクラスが一致団結する体育祭。そして関係を築けたからこそ実現した後夜祭での舞台へと繋がる。
体育祭そのものの描写はダイジェスト程度であり、それまでの練習過程の方に時間が割かれていたのが面白いところ。
ほぼアニメオリジナル回である第7話で描かれた反復練習の大切さ。第8話で描かれた真剣勝負の悔しさと一貫性のある物語の展開。
映像面でも見所が多く、歩きからちょっとした仕草まで日常的な芝居作画が全編に渡って上手い。
原作由来のものもあるが、ここまで服を着替えたり髪を結うシーンを省略せずに描き切っている作品もそうないのではないだろうか。
また、登場人物が中学生1年生ということもあってか、そうしたシーンも艶を出し過ぎないのが良い塩梅（この辺りは着せ恋と見比べると面白い）。
加えて本作では撮影処理の存在感も強い。
歴史ある校舎の朝の紫がかった画面が印象的。
原作におけるカラーページをアニメでは撮影処理を前面に出した画面に。ふとした瞬間を切り取ったような美麗さが目に映る。
お気に入り話数：6、7、8、9
ずっと続いて欲しい思えるセツナを感じさせてくれる作品。
本当に良かった。
