※原作既読（後追い）
監督は『ぼっち・ざ・ろっく！』の斎藤圭一郎氏。また、初回はTVアニメとしては初の金曜ロードショーでのSPで話題を呼んだ。これにより連続2クールの全28話となったが、物語の区切りやゆったりとした時間経過の映像作りを考慮すると必要だったのは間違いない。
本作の優れた点として、その全28話という昨今のTVアニメではまずない話数を少人数体制で本社回・グロス回を問わず安定した高水準の映像を作り上げたことである。それでいて要所ではさらに見応えのある映像となっていた。それには普段は劇場作品への参加が中心のアニメーターや他作品にも引っ張りだこの国内外実力派アニメーターを何人も引き入れた上で、作風から逸脱しないようコントロールできていたことが要因と考えられる。
原作の時点から終始淡々した描写が多い中、アクションシーンも画面の情報量やカメラワークで派手にし過ぎず、視聴者が目で追えて何が起こっているのが分かりやすいものに。逆に終盤の複製体フリーレン戦では、初見では何が起こっているか理解が難しい画面が常人では到達できない魔法の高みを表現しているように感じ取れた。
他にもキャラの心情が伝わる所作、グラデーションがかった青空といった美しい背景美術、作品に寄り添った劇伴などと原作の要素をより良く魅せるための工夫が随所に鏤められており挙げればキリがない。
お気に入り話数：6、9、10、14、26、27
原作要素以外で良くなかった点が思いつかないくらいに優れた作品だったなと。
