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ソードアート・オンラインIIの都部のレビュー・感想・評価

ソードアート・オンラインII(2014年製作のアニメ)
3.7
桐々谷和人のメンタルケア三部作──と、私が勝手に呼んでいる作品群の最終作で新たに発生した現実に紐付いたPK事件を通して、SAO上での殺すこと/殺されることの罪と罰と向き合う為の物語が本作の半分の尺を占めている。現地ヒロインとして存在するシノンもまた現実での殺傷経験に心に傷を持っており、新たな理解者を得る物語として不足ない。

銃火器が支配する世界観でライトセーバーさながらの光剣で──さながらというかまんまである 銃撃を弾くところとかも含めて──プレイヤーを薙ぎ倒していく姿はキリト特有の戦闘における一定の爽快感があり、その異物感が主人公としての立ち位置を確立するものとして配置されていて良かった。主人公が担わないスナイパーとしての妙をシノンが補填する形で活躍として見せる構成で、スコープ越しに相手を狙い撃つといったそれまでのMMOシリーズにはなかった常に緊張感が持続する戦闘の雰囲気の再現性を成功させている。

またそれまでの関係性を一旦 脇に置くことで焦点を絞り、より内省的な物語として語り部とヒロインの心境の深掘りを可能としている点もほどよく、新たに2期として語り直すに足る物語としての説得力も強かった。

後半はキャリバー/マザーズロザリオ編が語られ、三部作の後日談として平和な日常を交えながら、MMOの恩恵により本懐を果たす個人の物語を語る構図は骨太な羽休め回として配置されていて飽きさせない。個人的に名エピソードとされるマザーズロザリオに対して良い印象をさして抱いていないのでGGO編の方が面白く感じたが、語り部をアスナに譲ってサポート役に回ったキリトの振る舞いの丁度よさも堪能出来たのは嬉しい誤算だった。コイツ 命掛かってない時はそれはそれで活き活きしてんな……。
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