りゅう

伊藤潤二『コレクション』のりゅうのレビュー・感想・評価

伊藤潤二『コレクション』(2018年製作のアニメ)
4.0

■1話
双一の勝手な行動が呼び起こすストーリー。アニメの第1話はその後、見続けられるか決め手になる大事な回だが、そこに双一をぶつけてくるのがさすが。

■2話
「ファッションモデル」
「主役を食う役者」とはよく聞く表現だが、これは文字どおり。

「長い夢」
伊藤潤二の絵の怖さが活かせてない。
チープなものになっている。
また、これは5億年ボタンと近い話だと思った。

■3話
「4つ辻の美少年」
漫画ではそれなりに長さのある話。
アニメでは尺に合わせ、中途半端な箇所で終わる。本来は(漫画では)オチがつくのだが。

「なめくじ少女」
生理的な気持ち悪さではトップクラスの作品。楳図かずおの影響がモロに出ている作品。アニメでも、(漫画ほどではないが)気持ち悪さが感じられる絵となっている。

■4話
「寒気」
蓮コラ的な生理的嫌悪感を覚える作品。
アニメでは、絵の気持ち悪さが足りない。

「あやつり屋敷」
アニメで見ると(動きがつくと)滑稽に見える。

■5話
「押切異談」
本来は「押切シリーズ」として、複数話存在する。確かに前後のつながりが希薄なので、この部分だけを切り取ってもアニメになるのだなぁと実感。しかしながら、やはり絵の怖さが圧倒的に足らない。

「布製教師」
再びの双一。なかなか良い。
第1話に続き、双一はアニメにしても魅力が残る。
双一は、絵で魅せるホラー色が他の作品に比べて薄いので、アニメでも面白さが残るのだろうか。

■6話
「隣の窓」
隣のアバタ女を見た時笑ってしまった笑。

漫画を読んだ時には気づかなかったこと。
隣の窓から覗く女は人間ではなく、霊的な存在だと思う。霊だとしても、隣の窓から侵入せず、普通に家の玄関から入るという手もあるのではないか。
それを“あえて”窓から来るという行動が不気味。怖い夢の中の摂理とか、正常性を思い出した。それを見てる時はなんとも思わないのだが、ふと夢を思い出すと奇妙なルールがそこに存在していたのである。

「穏やかな別れ」
「魔の断片」に載っている作品。
悲しい話。ストーリーの切なさで惹きつける作品。
少し考えれば、オチが予想できそうな話なのだが、全く予想してなかった。
伊藤潤二を悪くいうつもりではないが、
こういう作品を描く人だと思っていなかったのだ。
「1人でキネマ」でいうところの“シックスセンスってる”というやつである。
世にも奇妙な物語でやっても全く不思議ではない作品。

■8話
「ご先祖様」
ご先祖様の頭、毛虫のようで本当に気持ち悪い。
しかし、絵の気持ち悪さは漫画にはかなわないか。

「サーカスが来た」
狂気な話。
サーカスの団員が次々と失敗して死ぬドタバタギャグにも思える。

■9話
「画家」
13話が「富江」なのに最初に「画家」をやるのか。
富江シリーズは、前後のつながりがない作品とはいえ、不思議と違和感はなかった。
絵的な怖さは半分ほど再現されている。

「血玉樹」
声優どうした?不自然なほど棒読み。
やはり絵がうーむ。
漫画では、かなり気持ち悪いのだが。

■13話
「富江」
グロテスクなシーンもちゃんと再現している。そのことを素晴らしいと感じる。
特に富江の解体シーン。
腸を取り出して、「昼ごはんはサンドイッチだな」いう一連の狂気な場面を描いてくれるとは。
りゅう

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