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進撃の巨人 The Final Season 完結編(前編)の都部のレビュー・感想・評価

4.2
進撃の巨人第四期放送から丸一年越しの放送となる最終章前編。
長期となるマーレ編の分割放送形態が揶揄されがちな本作ですが、制作期間に見合った完成度なのは間違いなく、OVA〜劇場規模の作画のもと地ならしの理不尽さと殿を務める番を迎えたハンジの最後の奮闘が描かれています。

とにかく本作の最大の見所である地ならしの描写に多くの意味で手抜かりがないのが嬉しく、虐殺の覚悟を決めたエレンによる謝罪から遠方より迫る大型巨人の群れのおぞましいカットに繋がるのが良かったですね。重みのあるSEと共に徐々に迫ってくるそれは、避けられない恐怖として印象が強く、熱波で焼かれ巨体に潰され 人により死を選びと世界の終焉たる絵面は入念に確保されている。見たい画を見れるという意味で拘り抜いた制作の価値はあったなと。

また原作絵に対する忠実性を感じる作画による飛翔前日/当日の遣り取りも楽しく、こうしてアニメで振り返るとアニ・レオンハートの恋慕にここで綿密な形で触れた上でミカサにその問題をパス──なにをしにエレンと向き合いに行くのか──しているのが分かりやすくて愉快。アクション部分はハンジの活躍が盛られていて、立体機動装置本来の躍動的なシーンが60分尺の中でも印象に残る程度には見れる作りで、地ならしの前での一兵の無力感と役目を果たして本懐を遂げるハンジへの労いの感情が同居するエモーショナルなシーンで良かったように思います。

物語もクライマックスという意味では、最後の場面の高揚的な盛り上がらせ方は十二分なので改めて後編が楽しみです。
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