『電脳コイル』磯光雄監督の約15年ぶりの新作。
今度の舞台は宇宙。SF要素は一見小難しさもあるが、手に張り付けられた先端的デバイス、コンビニや布状の隔壁が備え付けられた宇宙ステーションと実用性がありつつも堅苦しくないポップなデザインにより取っつきやすい。加えて、シンプルなデザインの登場人物のマンガのような記号的な表情付け、現実にあるブランドのパロディなどもポイント。
映像的には、井上俊之氏がメインアニメーターを務めたこともあり、派手さは無くとも全編満遍なく見応えがあった。無重力による浮遊感も違和感なく表現されている。それとクレジットにBlender作画という特有の役職があるのも面白かったり。
「あんしん」と名付けられた閉鎖的空間、リスクを承知で課せられた制限を飛び越える。舞台の規模は大きくとも普遍的なテーマ性。
監督ご本人が語っているように本作は尺の都合でカットしている描写があるとのことで、特に終盤はやや端折られた印象は否めない。それでもオリジナル作品として、十分に楽しめるものだったなと。
次回作は何年後になるかは分からないが楽しみに待ちたい。