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サイバーパンク エッジランナーズのmのレビュー・感想・評価

4.8
全話鑑賞。
キアヌの出演やグラフィックの事で発売当時色々話題になってたゲームを、お馴染みTRIGGERと「グレンラガン」「キルラキル」「プロメア」の今石洋之監督がアニメ化。

トリガー・今石監督作品は(というか中島かずき節か)いつも絶対的なポジティブさがあるけど、今回はその明るいトーンを維持したままダークで破滅的なフィルムノワール物語(というかハードボイルド?)を疾走するのが快感。個人的には今石監督作品だと「キルラキル」に次ぐ傑作になったんじゃないかと思う(ごめん俺「プロメア」ダメなんだ)。
実は某作と同じ構成である事が分かった時は思わず『まんまやんけ!』と叫んだけど、今回はあれのネガ版という趣きがある。フィルムノワールだなぁ。

主人公の得た高速移動能力の連続写真みたいな映像表現がユニークで良かったし、その彼の能力が彼に最悪のものを最悪の状態で見せる事になる中盤の邪悪さや、最終的にものすごく皮肉な形で最初のお母さんの願いが叶う所(そしてそれでもここまで来たよという気持ち)、凄まじく残酷でありながらどこか切なく美しくもある感じでとっても素敵でした大好き。

声優陣の演技もアニメ的演技に微妙に生々しさがプラスされていて良かった。

女性描写に関してはアウトローなヒロインのキャラ造形がなんだかんだで都合の良い感じに収まってしまうのが残念だけど、フィルムノワールのヒロイン像として作られていると考えるとまぁいっか。その代わりに大暴れするのが脇役のレベッカで、彼女のキャラはとてもトリガーらしい。主人公の為に地獄まで付いていく彼女の心のドラマはさりげなく美しかった。

いじめっ子優等生カツオの描写には日本オタクの駄目な所が出まくっている。

今石テレビ作品の各話のタイトルのセンスが好きなんだけど、今回もそのセンスは活きている。特に最終話のタイトルが「私の月、私の恋」、ただただロマンチック。
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