人間が妖精を使役し、砂糖菓子が幸運をもたらすと信じられている世界――。 そこで聖なる砂糖菓子を作る特別な砂糖菓子職人“銀砂糖師”を目指す少女・アンが旅の護衛として雇ったのは、戦士妖精・シャルだった。 態度は尊大だが、傍にいることを約束してくれたシャルにアンは心惹かれ、シャルもまた砂糖菓子作りへの情熱を貫くアンから目が離せなくなっていく。 様々な困難を共に乗り越えながら、互いにかけがえのない存在となる二人。 そして、翌年。アンは二度目の砂糖菓子品評会で王家勲章を授与され、ついに銀砂糖師の称号を得る。 だがその陰で、シャルはアンを妬む者の陰謀を暴くために、ペイジ工房の長の娘・ブリジットと取引をしていた。 羽を渡してブリジットに使役される身となり、アンのもとから去っていくシャル。 茫然としながらも、自らの手でシャルを取り戻すことを決意するアン。銀砂糖師となったアンの新たな試練が始まる――!
品評会で王家勲章を授与され、銀砂糖師の称号を得たものの、シャルが去って茫然とするアン。エリオットの誘 いもあり、アンはブリジットがシャルを連れ帰ったペイジ工房で働くことを決める。自分の力でシャルを自由に することが、アンが銀砂糖師を名乗るための第一歩だから――。
シャルと再会し、助けることを約束したアンは、気を引き締めてペイジ工房での初仕事に取りかかる。作業棟でエリオットに紹介されたのは、個性豊かな 4 人の砂糖菓子職人だった。彼らの仕事の進め方は他の工房と異なり、戸惑いを感じるアン。しかも、砂糖菓子の注文も減ってしまっていて……。
聖ルイストンベル教会の新聖祭に納める砂糖菓子の選品に、ペイジ工房も参加したいと申し出るアン。グレンは先代の方針により参加を拒否するが、アンは工房を立て直すきっかけにしたいと考えていた。そんなアンの情熱に心を動かされ、ようやく選品への参加を決意するグレンだが……。
エリオットが何者かに襲われ、負傷するという事件が発生する。だが、選品のための作業を止めるわけにもいかず、アンはオーランドたちと話し合いながら、雪の結晶をイメージした砂糖菓子作りを進めていく。そのモチーフは雪が好きなグレンのために、皆で考えたものだった……。
選品の作品が評価され、ペイジ工房は新聖祭の砂糖菓子制作を任されることに。シャルを自由にすることができたアンだが、自分の意思でペイジ工房に留まり、新聖祭の仕事をやり遂げる決意をする。砂糖菓子制作作業のため、ホリーリーフ城へ移動したアンたちだったが、その城は怪しい雰囲気で……。
ホリーリーフ城に平和をもたらすため、自らリーダーとなって「幽霊退治」に乗り出すミスリル・リッド・ポッド。その夜、シャルが捕らえた幽霊の正体は、少年の姿をした妖精だった。ノアと名乗るその妖精は、かつての城主だったハーバートの小姓だと言い、アンたちを盗人呼ばわりして強がるが……。
季節外れの大雨の影響で銀砂糖が固まってしまい、呆然とするアンたち。湿気を飛ばして銀砂糖を碾き直す作業に取りかかるが、時間も人手も足りない。切羽詰まったアンとエリオットは、派閥に属さないキャットに手伝いを頼もうとするが、キャットはその申し出を拒否して……。
ヒューとの勝負に挑むアン。今もハーバートを慕うノアが喜ぶモチーフを考え続けたアンは、禁忌とされているハーバートの家の紋章を模した砂糖菓子を作る決意をする。勝負の日、ヒューとアンからそれぞれ差し出された砂糖菓子を見たノアが、思わず手に取ったのは……。
シャルの前で本性をあらわにしたグラディスは、自らを「ラファル・フェン・ラファル」と名乗る。ラファルはシャルを仲間にするためにアンを奪うと宣言し、去り際にオーランドを襲い、負傷させる。グラディスに利用され、そのせいでオーランドが怪我まで負ったことを知ったブリジットは……。
アンと羽をラファルに奪われ、命じられるままについていくシャル。たどり着いたのは、ラファルが拠点とする荒れた城砦だった。ラファルは自身の素性を語り、かつて人間王セドリックと戦った妖精王リゼルバの遺志を継ぎ、ともに妖精王となって妖精の国を取り戻そうとシャルを誘うが……。
ラファルの支配に疑問を持たない妖精たちの様子に、怒り悲しむアン。しかし羽を握られ逆らえない。シャルは銀砂糖の強奪に協力させられ、アンはラファルに捧げる砂糖菓子を作らされていた。しかも、ラファルから「人間と妖精とでは幸せになれない」と吹き込まれた二人は、どこかぎくしゃくして……。
妖精たちの裏切りに怒りを爆発させるラファルと、ラファルの凶行を止めようと剣を振るうシャルは、吹雪の中で対峙する。そして、ラファルの支配に逆らい、けれど人間から追われる身となったルスルと戦士妖精たちを憂うアンは……。砂糖菓子が幸運を招くこの世界で、銀砂糖師と黒の妖精が願う未来のかたちは―――
人間が妖精を使役し、砂糖菓子が幸運をもたらすと信じられている世界――。そこで聖なる砂糖菓子を作る特別な砂糖菓子職人は、“銀砂糖師”と呼ばれていた。一流の銀砂糖師だった母を亡くした少女・アン…
>>続きを読む©2023 三川みり・あき/KADOKAWA/「シュガーアップル・フェアリーテイル」製作委員会