カニ組長

REVENGERのカニ組長のレビュー・感想・評価

REVENGER(2023年製作のアニメ)
5.0
 この作品は、パラレル江戸時代のパラレル長崎が舞台の必殺仕事人。この世に未練を残した者たちの恨みの籠ったお金(この作品では無念を残して亡くなった者の歯型のついた小判)を受け取り、復讐を代行する"利便事屋(りべんごとや)"、通称リベンジャー達の物語である。
 ……って、利便事屋でリベンジャー読みは流石にパワープレイ過ぎませんか!?
 この作品、パラレル設定もあってか、かなりなんちゃって時代劇感が強い。そもそも利便事屋がキリスト教の息がかかった暗殺組織であったり、リーダーの幽烟が背中に聖母マリアの刺青を彫っていて、殺しの際に遠山の金さんよろしくとばかりに見せつけたりする時点でとんでも設定だし、完全にB級パロディ映画のノリだ。
 それでも、この作品は単なる必殺仕事人のB級パロディ作品などではない。むしろ復讐譚として一級品の作品だと言える。そう言い切れるのはひとえに、作中に倒すべき絶対巨悪がいたこと、そしてその巨悪が全く格を落とさずに、下衆外道な吐き気を催す邪悪を貫いていたことに寄るところだと感じる。とにかく、邪悪な上に生々しい、そんな悪役達の存在自体がこの作品をより魅力的なものにしている。
 結末が何とも切ないがこの顛末だからこそ復讐譚としても完璧だ。
カニ組長

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