ソラアユム

PLUTOのソラアユムのレビュー・感想・評価

PLUTO(2023年製作のアニメ)
3.5
題名:PLUTO
鑑賞日時:2023年12月16日
鑑賞方法:NETFLIX
評価:3.5(MAX5.0)

『これ以上、ロボットを人間に近づけようとするな。恐ろしいことが起こるぞ。』
 

□鑑賞期間:2023/12/6~12/16
2023年14本目
原作未読


□高性能ロボットの破壊を狙った事件を調査するユーロポールの捜査官ゲジヒトを中心に事件のカギを握る謎のロボット“プルート”の正体に迫るアニメ作品

 ロボットが人間と同等に近い権利が与えられている世界観で、人とロボットの境界線を問うハードSF成分を多分に含む興味深い作品ではあったかなと。

 一方、浦沢直樹節炸裂の説教臭いメッセージをストレートに臆面もなく伝える様に、辟易させられてしまう時間も長かった…というのが正直な所だった。ロボットたちの言動が説明的(機械的)なのはまだなんとなく道理が通るのだけれど、人間のキャラクターも同じ調子で、ロボット・人間に関わらず魅力的で温かさを感じるキャラクターが皆無に等しい。自分の感情を一から十まで言語化するだけに留まらず、他者の感情まで説明してしまうウラン(の能力?)には呆れを通り越して笑いがこみ上げてしまった。「アトム…あなたは嘘をついた」なんて台詞を言わせないで、頼むから。

 キーワードは≪第39次中央アジア紛争≫≪ボラー調査団≫そして≪プルート≫だ。これらの単語を意味ありげにキャラクターに呟かせておけば、もしくは叫ばせておけばサスペンスが成立すると思っている節ある。ボラー調査団のメンバーが“ボラー”の意味を知らないというのが、もはやギャグ以外のなんでもなく、「ボラー!ボラー!」と戦災孤児が叫び始めてしまったときは何とも言えない気持ちに。そういえば『20世紀少年』もこんな調子だった。

 そもそも、高性能ロボットが次々に破壊されている世界的に重大な事件にも関わらず、まともに調査活動をしているのがゲジヒトだけというのが意味不明。アトムもヘラクレスもエプシロンも調査に参加すればいいし、ロボットだけではなく世界各国の調査機関の動きが鈍いのも多分に気になる点だ。“ロボットは人を殺せない”、とか、“ロボットは嘘をつけない”といったルールが最初に提示されるのだけれど、それはあくまで法の下に管理されている機体の話であって、テクノロジーの進歩が進んだこの世界なら、違法にプログラムを書き換えてルールを破ることも可能なのでは?今作のテーマを考えると、そこまで考慮する必要性がないのは承知なのだけれど。


□まとめ
 少し期待が高すぎたようだ…


以上