久しぶりにバンドリシリーズに触れたのだが、ファンが楽しめる世界観と、新鮮で歪な物語が個人的には楽しかった。もうマンネリのオワコンだと思っていたけど、まだまだポテンシャルしかなくてびっくりした。これはトゲトゲとの対バンも納得だった。
本作のZ世代における人間関係の新しさを直球でそのまま余すことなくぶつけてきている潔さが新鮮で、賛否が起きるような現代を色濃く反映した魅力的なキャラクター、そして完成度の高いアニメーションと演出がとても好きだった。
しかしながら、そもそもAve Mujicaを描き切ってやっと話がゴールに辿り着くので、本作だけだと回収されない伏線とそれぞれの交錯する思惑に決着がつかない故に、何とも形容し難いことになっているのはいかがなものかと感じた。
そして楽奈のエピソードは総集編を観ないとわからないので、TVアニメとしての完成度は荒削りなものと、不完全なものとなっていたのが残念だった。
群像劇として描きたかったのは分かるが、如何せん主人公の燈が起爆剤としての役割しか果たしてないのも感情移入しにくい要因で、安直だが、彼女の視点を入れるべきだったと思った。
まぁ、MyGOのバンド結成までの人間賛歌は面白く、そこは本シーズンで綺麗に纏まっていたので、観ていて満足感は高かった。
特にキャラクターの関係値(燈は愛音を、愛音はバンドという居場所を、そよは祥子を、立希は燈を依存に近いレベルで求めているのが面白く)をある種色々な解釈ができるのが楽しかった。
Ave Mujicaシーズンの期待値は必然的に上がってしまうが、表裏一体で無難な展開になりそうなのが怖すぎる。