『このキスに殺されなければ、今年は何も語れない』
全てを失いながらも他人の一生を背負いバンドを続ける少女の運命を描いた柿本広大監督作品は、今芸術的にも商業的にもインフレの止まらないジャンルにおいて自ら最狂を名乗って、そのコピーに偽りなしと示すガールズバンドアニメオールタイムベスト級の最高傑作。
MyGOの最終回を持っていきやがって別ベクトルでの面白さがあるんだろうなと斜に構えるも、2組のバンド総勢10人で修羅場になりながら最狂の覚醒を待つのは伝統芸能の域で、このスリルを前にもすればオスカーやパルムを制覇したアンチシンデレラも霞む霞む。
まさかバンドリ見ていて笑えないジョジョ4部みたいな設定をぶち込まれるとは思わなかったし、某国の市場を意識してか同性愛と言い切らないことで感情の化け物が生まれているし、脚本家一人では収拾がつかないアニメという媒体でしか起こり得ない現象に神を視る。