絶頂が能力のパワーアップの引き金となる設定は愉快で、エロコメを無理なく──設定の時点で無理があるのはご愛嬌で──差し込めるという点では突き抜けを感じる設定だが、悲喜こもごもな立場に立たされるヒロイン達と比較すると作業的な愛撫と反応が目立つ語り部の空虚な立ち位置が物語の面白味を大きく削いでいてる印象が滅法強い。
大陸の大半が敵陣営に占拠されている立場の物語と考えるには悲壮感に欠けている点も否めず、メインヒロインであるアイネの内的真相は無駄に重々しく、ハードSF路線の世界観とエロコメに寄った設定が有機的に絡んでいるとは言い難い。
おっぱいを惜しみなく晒してくれるのは結構だが、受け手であるヒロインの羞恥心に対して主人公の手馴れている感じが不似合いであり、性行為未満のその応酬を萌え要素として落とし込むなら語り部の反応にも拘って欲しかった部分は否めない。移動式ラブホなどネタ的なシークエンスも見られるが、そうした設定の尖り方が半端であるから作品の質感が統一されていない気質はあり、最後までそれが安定することはなかった。
