ねっしー

ゴールデンタイムのねっしーのレビュー・感想・評価

ゴールデンタイム(2013年製作のアニメ)
3.2
記憶喪失の大学生の、過去と現在の物語。
『とらドラ』と続けて観ると、原作者の青春に対する憧憬を感じます。でも、どちらの作品もやっているのはずっと恋愛で、青春=恋愛だっけ?と感じます。

学生時代の青春って、無為に過ごしてしまったり、成果も残らない部活にマンネリと通ったり、勉強やらなきゃなと思いつつさぼったり、なんとなく気になる程度の相手と大恋愛したり、謎の対立関係に巻き込まれたり、そういう訳の分からないものと等身大で向き合える時期だと思うんです。

もちろん、スポーツや勉強に強く向き合うのも青春のあり方です。
ただ、私は本作の恋愛至上主義的な青春像にあまり賛同できません。

------

ストーリーは、「記憶を失う=今の自分を失う」という重いテーマを扱っているため、エピソード単位でも視聴者によって考えが変わる、それなりにシックな内容になっています。

記憶喪失の部分に関しては、恋愛シーンで記憶喪失前の元カノ的な先輩と、記憶喪失後に出会った今カノの狭間で揺れるギミックにもなっています。
二股のような状況に正当性が生まれて面白いです。

そういった良さも書きつつ、気になったのは主人公が最後の最後まで受け身なところです。

過去の自分は亡霊のように背後についたり、勝手に今の自分を呪って他人を殺しかけたりします。
(完全に逆恨みの悪だし、高校時代の主人公は正直気持ち悪いです)

そんな過去の人格と、現在の人格による、せめぎ合いが描かれることを期待していたのですが、実際の物語は時間経過でどっちかが優位になったり、片方が消えたりするだけで、本人の意志や周囲の努力とは関係ないのです。

そういう、単純な受け身の姿勢なので、最終回でも主人公の結末を素直に喜べませんでした。
たぶん、主人公が積極的に選んだ結論なら、誰を選んでも満足と納得のできる内容だったと思います。

ここまで上手く流れを作ったのに、凄く勿体ない……













なんだかいいところはないけど、酷い評価を付けるのも違うような作品でした。

というか、過去の人格(記憶喪失後も傍観できていた人格)、記憶喪失後の人格の他に、過去の記憶のみを持った第三の人格が出てきて笑える。
ねっしー

ねっしー