生まれ変わったら最強。リセマラ大成功物語。
剣と魔法の世界において、他の追随を許さないくらいの力を獲得しているのに、偉ぶらないのが可愛げスライムの良いところ。友だちもいっぱいで、いろんな人に尊敬されて、そんで女にも男にもモテる。
停滞と絶望しかないニッポン社会において、異世界転生モノはなるべくして覇権ジャンルとなった。どうせ死んで生まれ変わるんなら、気のいい人たちと、みーんななかよしみたいなユートピアがいい。
バカみたいな強さの裏付けが都合よすぎるけれど、せっかくそういう力を得たのであれば、善良な人たちが安心して暮らせるような場所を作って、彼らが何者からも虐げられないようにしたいって、自分の理想の成就のために他者に安息を提供していこうとするリムルの奉仕精神にはおおいに共感する。
集まってくるのは、気の合う奴ら、話の通じる奴ら、少なからず好意を向けてくれる奴ら、気安く対等な関係を好む奴ら。いい人は味方で、気にくわないのが敵。それは激しく選民的ではあるんだけれど、こんなのに救いを見いだすぐらいには、実社会のマダラでグラデーションの人間関係に僕らは辟易しちゃてんの。
ストーリーが進んでいくと、人間と戦争になってブチキレて一個大隊を皆殺しにするとか、魔王会議に呼び出されて政治と知略を試されるとかで、イヤに殺伐としてくるから、たくさんお友だちが集まってくる幸福感に満ちた最初らへんが好きです。