のちのよるねこ

どうする家康ののちのよるねこのレビュー・感想・評価

どうする家康(2023年製作のドラマ)
3.8
いいね。
絵がリッチ。
最新の技術の、背景に巨大なLEDモニターを置いてリアルな情景をつくる手法が生きている。またCGも生かされていて、見ていて画が貧相だったり、舞台セットがわざとらしくてフィクションの夢から覚めるという大河でありがちなことがほぼなくなった。

また、全体を貫くコンセプトと、細部の台詞やネタの入れ方が光っていた。
全体としては、家康は寅年ではなく兎年生まれ。強く生きろと強いられてるか弱い兎が乱世をどう生き延びるか。どうする家康。というコンセプトが最初から最後まであって統一感があった。ここの選定はすごく良かった。企画会議だと全面的に面白そうだなとウケそうな感じ。
また、細部としてはたまにある台詞やシーンでの爆発力がよかった。最終回では「私を連れてってくれ、乱世の亡霊よ(うろ覚え)」と真田幸村に言うシーンはとてもよかった。
たまにこういうゾクッとするとこがあるからやめられない。

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ただ極全体と極細部はよかったのだが、その中間、全体と細部をつなぐのがやや稚拙な感じがあった。
登場人物の最初と最後を貫くキャラ設定や背景の選定は良く出来てるが、ときどきそれに相応しくない台詞が飛び出たりして、人格が分かれてるように思えるときもあった。
また、毎回の盛り上がりどころ、視聴者を楽しませるためのフックをしっかり設定してるのはいいが、それありきでやや整合性や流れがギクシャクしてる感じもあった。

多分2時間ドラマ×3部作みたいな長さだと名作になったと思う。
個人的にはその作者の工夫と熱意を応援したいし応援していたドラマ。
ただ普通に大河を作るにしてはほんの少し実力不足だったかもしれない。
二回目、三回目の大河ドラマではかなり良いものを作ると思うので、この脚本家の10年後に期待。
いや、もしくは監督の差配も大きかったのかな。

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あと最終回いい感じだったけど、死ぬ間際に長い寸劇が入ってきて冷めた。めっちゃ冷めた。それはどうなの…。
最後に昔の仲間と会って、思い出して、そのまま亡くなるってのは大好きだし全ての大河でやってほしいほどだが、ちょっと寸劇が長いしつまらんよ…。
それだったら大河ドラマ平清盛の最終回の昔の仲間が座って目を合わせて黙って礼をして、カメラが進んで全員写して終わりぐらいでもよかった。

作ろうとしたいものは十分伝わってよかった。そんなドラマ。
いいドラマだったよ。
あと織田信長、武田信玄、豊臣秀吉、本多正信の役者の選定がめっちゃナイス!