みとも

賭ケグルイのみとものレビュー・感想・評価

賭ケグルイ(2018年製作のドラマ)
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‪なんだかんだ全話見てしまった。場合によってはそれなりに面白いエンタテインメントになったのかもしれないが、ただひたすら浜辺美波を愛でるだけのドラマ。赤いブレザーはアレですが、やはり黒髪ロングにストッキング姿がそそりますよねえ。途中猫になったりするのも可愛いし。この子声も可愛いんですよねえ……でも本当にそれだけで後は何一つ見所がない。言わば浜辺美波プロイテーション。英勉監督って作品によっては一応エンタテインメントとしてちゃんと成立させてたりしますよね。映画秘宝の岩田編集長は貶してたけど『トリガール!』ってそこまで悪くなかったですよ。土屋太鳳は可愛いし。間宮祥太郎はブレイク直前でしたね。ああこれにも高杉真宙が出てる……『ボンとリンちゃん』では童貞オタク高校生やってたけどねえ、彼もいつのまにか人気者になった。あと自転車というのは映像の被写体として絶妙なんですよね。やはりデ・シーカ以降というか。
で、このドラマに話を戻すと、アイデアとしては、舞台劇的な手法というか、指パッチンで照明が変わって、指を鳴らした人以外は昔のドラマみたいに停止して、その人物だけが喋り出して観客に対してネタを説明してみせる、というのはなかなか面白いことを思いついたとは思う。安易なモノローグの回避にもなるし……と思っていたら、せっかくこの時間停止が挿入されても、その後結局何も考えずにモノローグを多用していたりするので、せっかく思いついた時間停止+第四の壁を破るアイデアも台無し。これでは香川照之の内面モノローグがひたっすらにうるさいあのクソつまらない実写版カイジと同じだ。おまけにあれはいつもの藤原竜也の絶叫芝居が漏れなく付いてくるし。
まぁ、このドラマのチームは実際にはそれほど悪くはなくて、突き詰めると原作漫画の問題になるのだが、やはりこれしょうもない漫画ではあるよなぁっていう。特にどうしても福本伸行作品(前述の実写版についてはもう触れないこととする)と比べると陳腐だし、到底及ばない。あの絵柄なのに、極限状態に置かれた人間の「生」が剥き出しになる福本漫画の素晴らしさ。欲望!裏切り!エゴイズム!絶望!精神崩壊!号泣!失禁!……荒唐無稽さで言えばそりゃカイジだってすこい荒唐無稽ですよ。帝愛グループなんてあんなの実際いたら大問題ですから。でもあの中では成立しているのだから、この賭ケグルイに関してはそもそもリアリティラインの設定に関して原作者が無自覚なのだろうなと思う。いくらフィクションであることを盾にしたってあんな学校存在し得ないし、当然社会問題になるはずです。なぜ教員や保護者たちは誰もなにも言わないのか。そもそも未成年はギャンブルできません。高校生のうちからあれだけ負債を抱えて自殺とか殺人・暴行事件が大量に出てるんじゃないかとかいろんなことを考えますよ。出てくるギャンブルもオリジナリティがあるようで、実際には面白みのない勝負ばかりで、どんでん返し的にトリックやイカサマを見せられても全く感心しない。カイジと比較するのはむしろ福本伸行に失礼なぐらいかもしれないが、やはりギャンブル漫画の金字塔といえばカイジなので、原作者にもそれぐらいの覚悟はあるでしょう。
一方で荒唐無稽な学園生活といえば、奇しくもこちらも実写版では森川葵が出ている『監獄学園』なんてのもありました。どうしてもカイジと比較してしまうように、『監獄学園』とも比べちゃいますよね。なんで『監獄学園』もあんなありえない設定なのにあっちはちゃんと面白いんだろう……原作はさておき、アニメ版の水島努/実写版の井口昇が天才だからかなぁ……
にしても、なぜこの漫画ってこんなにヒットしたんでしょうねえ。スピンオフ含めて5作ぐらい漫画あるし、アニメも作られ(これも観客に向かって話しかけたりして第四の壁ネタやってるのよね)、実写版もドラマ2期目+映画まで決まってる。これカジノ法案のプロパガンダなんじゃねえのって勘ぐりたくなりますよ(笑)。まあそんな冗談はさておき、パチンコ依存症なんかもわりと深刻な社会問題ですし、このドラマの浜辺美波や森川葵なんて実際には真夏にパチンコやってて車の中に置き去りにした赤ん坊を死なせちゃうようなお母さん(面影ラッキーホール!)になりかねないですよね。この先カジノが乱立したらまたそういった問題も出てくるだろうし。しかもいくらこの国でカジノを合法化したところで、実際にはこの国にはカジノを運営するノウハウなど今のところないわけで、いくら観光客を増やしたいだの東京五輪に向けてだの、馬鹿馬鹿しいふさげた理屈を自民党のクソバカ代議士どもがほざいたところで、しばらくはマカオやラスベガスからプロのディーラーを雇うしかなくてむしろ外貨は出ていく一方なわけですがそれはまた別のお話。
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