彦次郎

江戸川乱歩の美女シリーズ 氷柱の美女の彦次郎のレビュー・感想・評価

3.7
テレビ朝日系列1977年~2017年まで毎週土曜日夜に放送されていた2時間ワイドドラマ番組『土曜ワイド劇場』の中の人気シリーズで通称「江戸川乱歩の美女シリーズ」の第1作目で原作『吸血鬼』。今まで江戸川乱歩モノだと少年探偵団中心であったテレビ版ですが本シリーズでは原作の大人向けを現代(放送時1977年)に合わせて作られています。シンプルにいえば猟奇とエロスをテーマにしたサスペンスです。
眉間に皺を寄せたニヒルな笑みを浮かべた中年探偵明智小五郎という有りそうで無かった人物像を作った天地茂が主演。特に真相解明場面で明智が変装をするシーンが有名ですが1作目から登場しています。なお小林少年は大人になって助手(2作目から別人が演じる)となり、原作だと妻の文代は美人助手として五十嵐めぐみが演じています。
お話自体は現代(2024年2月時点)の目の肥えた視聴者から見れば犯人も直ぐに分かりトリックや仕掛けもこども騙しに見えなくもありませんが鏑木創の作り出した不穏なBGMと強引ともいうべき展開で進められるテンポの良さで江戸川乱歩の妖しい世界に浸らせてくれました。原作で妖艶な未亡人柳倭文子が三ツ矢歌子というのが少し釈然としませんが硫酸を顔に浴びる卑劣漢岡田光彦といい登場人物がモブも含めて胡散臭いのが素晴らしかったです。
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