このレビューはネタバレを含みます
原作漫画は男性が妊娠する、というセンセーショナルなテーマをうまく消化しきれず、どう展開したいのかも図りかね今ひとつ過ぎたけどドラマはキャリアを積み前途洋々の男性が妊娠という一点のみを取り上げ、現代の働き方や差別問題を内包してうまくまとめてるように見えた。
もう原作というより原案というポジションで良いのじゃないだろうか。
特殊メイクで男性、しかも斎藤工の腹部(腹毛つき)が妊娠で膨らんでるビジュアルがとても倒錯的だった。
途中までは妊娠を口外出来ず、体調不良で仕事に穴を開け始めて訝しく思われそれまでと打って変わって手のひらを返すように職場の上司が斎藤工・健太郎を重宝しなくなるのは見ていてこちらもつらくなった。
しんどいけど、でもそれは女性がずっとそういう態度を会社や社会から受けて苦しんできた事であり、斎藤工がしっかり演じてくれたのは感謝しかない。あれを見た現実社会の男性が少しでも女性の気持ちを知ってくれるといいな。
漫画でもなかったと思うけど、ドラマでも結局なぜ男性(つっこむ立場なのに)が妊娠出来るのかの仕組みについてファンタジーとしても理屈を作ってくれなかったのは惜しいな。うーん、どういう仕組みで妊娠するんだろう、一応本当に男性の体にも子宮の名残りはあるそうだけど、それなら男性同士が性交渉して妊娠するならわかるんだけど、だからなんでだろう、と理屈で考えてしまい自分はそれが最後まで気になった。
リリー・フランキーが健太郎の父親役で出てくるけど、そこからは蛇足感が否めない。そっかリリー・フランキーも(ドラマの中でだか)妊夫役か、いいな。と思うしリリー・フランキーの素晴らしさも知っているけれど、ついリリー・フランキーに集中してしまうというか画面に出てくると何をやってくれるんだろうと期待しちゃって今回もまた怪しい役(生活が安定せず車中泊で詐欺まがいの事をしてる)だしそれ以上でもそれ以下でもなくて、この役自体いらなかった気がすごくする。
脚本、斎藤工が素晴らしかった。あと音楽もよかった。