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ザ・キャプチャー 歪められた真実のごnのレビュー・感想・評価

4.0
さくさく観られる。

各組織が何為に動いていたのかが最終話くらいまでわからんゆえ、それを知りたいモチベで一気観できる。意外と複雑。

実際に監視社会では起こり得るだろうし、技術的には既に可能で、場合によっては既にやる準備はありそうな話で、こえ〜ってなる。
情報レベルでの操作は普通になされているので、国家権力が全情報を握ったら何が起こるか真剣に考えて、選挙に行かねばよね、くらいの警戒心は存分に煽られる話。
マジでこんなことされたら、庶民はひとたまりもない。
国家と民衆の間で情報操作戦争が起こってもおかしくない。
コワイ…。なんも信用できねー。

ショーンの誰も何も信用できない恐怖、疲弊、無力感にも共感できて、よく死なずに耐えたな、と、思ってしまう。精神強い。

ってなる話だから、未来の為に観ておいて損はない。

監視カメラが鍵なので、それを意図した画角や編集の演出、伏線の張り方も、正攻法で攻めてて気持ちがよい作りで、複雑な話ではあるけど、頭に入りやすい。

ショーンのオチは不条理にも見えるけども、彼自身の、正義が追いついてきた、というセリフが意味深い。

彼は事実を捻じ曲げて正義から逃げたが、ある種、その権利が自分にはあると考えていた。はず。
一方で、各組織は、事実を捻じ曲げたのではなく、ほっておいたら起こる事実を描いてみせて、未然に防いだだけで、これは市民を守る正義に基づくものだ、という言い分。
人権派弁護士からすれば、司法制度において、公平な裁きを受ける権利こそ正義なわけだが、国家権力側からすれば、命あっての権利なんだから、一人の犯罪者の民主的人権より、大勢の命の安全を守ることの正義こそ優先されるべき、という論理。

各立場の言い分が理解できなくもないがために、このコンフリクト感にキーってなって悶える。

とどのつまり、ショーンにとっては、一個人としての正義の道理が自分の善なる部分に追いつき、一庶民として権力の正義の論理に自分の無力さが追い越されて、力尽きて諦観の域に達した感。

ショーンを見ていて思ったのは、権力に弱みを握られたら終わりだな、と。
真面目に慎重に警戒心を持って生きねば…と。
同時に無条件で信用できる他人をたった一人でも確保して離してはならんな、と。

携帯電話の位置情報はとりあえずオフやな。
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