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殺人者のパラドックスのごnのレビュー・感想・評価

殺人者のパラドックス(2024年製作のドラマ)
3.6
ソンソックさまを拝むために鑑賞。
その点においては大満足。
毛穴じゅうから闇色気がダダ漏れで、相変わらず目元だのデコの皺だの顎関節だのから出る台詞にならない心が出る出る。ずるいわー。やっぱ好きだぞ。

ストーリーは。
法治国家における正義とは、私刑の是非とは、の、苦悩、みたいな骨太系のよくある話かと思ったのも束の間、なんか妙にライトでファンタジーで漫画チックやなぁと。
後で知ったが、原作漫画があるのね。ならば納得。

サスペンスとか社会問題を期待せずに、ちょいと硬派でソリッドなスパイダーマン的な話として観るといい塩梅かも。
サクサクテンポよく、沼る手前で近所の公園の池になる。
深く考えずにイッキミしてしまうのが丁度良い。

イタンとノビンはヒーロー漫画。青春、友情、成長ものがたり。
オッサン二人は骨太デカもの小説。因縁の対決。過去の真実を知った時に選ぶ正義とは…ジャジャーン、みたいな話。

全然違うテイストのものがフードコートで絶妙に一緒くたで出てきてるよな構成。

イタンとノビンの背景は全然情報量がなくて割と浅い。
ノビン君典型的な素敵オタクキャラで、何気に彼が全ての場を回すフィクサーでもあり、一番ブレない。のに、あまり語られない。なんとなく想像つきますよね、程度。
イタンとの出会いもウソやろ級に唐突。ノビンがイタンにそこまで入れ込む理由がわかりそうでわからんようでわかる。くらい。フィギュアじゃなくてホンモノだったんだよね。きっと。

反対に、背景という意味では、ソンクックとイ・ヒジュンのオッサン二人の方が情報過多気味に物語られていた。
漫画チックになるところを、完全にアメコミにならないよにするための文鎮の役割として、二人の因果が敷いてあるような。

で、この、イ・ヒジュンさんが凄かった。
若い時の毒気のなさ、からの、変貌っぷりというか、悲壮な狂気というか。
この理由ありまくりの変貌の落差があるからこそ、ウシクさんの変貌がそれほどでもなく見える。
下手なのではなく、むしろ、それでいい。彼は、いい奴で、いい奴のまま。
若者にありがちな、憂鬱な金太郎飴みたいな毎日モラトリアム君から、ワーホリ替わりの謎の自分探しの旅に出てしまいーの親に心配かけーのバタフライエフェクトで自らの特殊能力に気付きーのそれを活かせる天職を見つけーの覚悟きめーの、の、成長物語、なので。
別人格レベルに悪い顔になる必要はない。
ちょい調子に乗り、調子に乗り過ぎて不安になり、反省して、再起、以上。
死に値するほどの尊厳への屈辱やトラウマはなく、自分の活かし方に苦悩したのであって、正義とはと苦悩したわけでもない。
ちょいオトナになったやん、垢抜けたやん、一皮むけたやん、くらいの変貌でよく、むしろ、ウシクさんの変化の誤差加減は非日常にならない範疇に納めていて絶妙だった。

だから、最後の最後で、あ、そか、普通の子の世直しヒーロー成長譚っすよね、これね、に、罪悪感なく、消化不良感もなく、スッと戻ってこられる。
4人ともケリはつけたし。哀しい落とし前もあったけども、ま、それはそれで、となっても許してもらえそうなライト感。

かなー。

めっさおもろいかってーとストーリーの中身自体はそれほどでもなく。
役者よし、映像よし、音楽よし、尺よし、テンポよし、で、結果見られちゃう系。
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