TakuoAoyama

最愛のTakuoAoyamaのネタバレレビュー・内容・結末

最愛(2021年製作のドラマ)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

主題歌「君に夢中/宇多田ヒカル」

ビンジ・ウォッチング。

湊かなえの「Nのために」と同じスタッフ陣で送るサスペンス。

「その人をいつ好きになったのか覚えていない。笑い声が聞こえるとついそっちを見てしまう。話せた日は嬉しい。別の誰かと仲良くしていると気になって仕方がない。会えない日はつまらない。2人になれた時はこのままで居たいと願ってしまう。気付いた時にはもうこの世でたった1人の大切な人になっている。」好きやよ

冒頭の大輝のピュアで真っ直ぐな心の内の台詞が心地良い。

あの時と同じ歩道橋。15年前には伝えられなかった思いは「勝手に決めんな!」と今爆発する。

血縁関係はないけど実は弟と同じ病気を患わっていた?加瀬は実はもう一人の血縁者?事件に関与した共犯者は大輝?梓?政信?加瀬?後藤?と回を追うごとに目まぐるしく展開されるジェットコースターストーリーは観る者を飽きさせない。

終盤で回収される血だらけの指で髪をかき上げ、顔に付いた血の描写が印象的だった。

高校生だった朝宮梨央と15年経って女社長となった真田梨央はまるで別人の様相を印象付けた吉高由里子の演技も良かった。

本作では守る者と守られる者を巡る様々な最愛の形が描かれるが、紆余曲折あれどあんなにも頼りになる無償の愛を捧げる男2人にこれでもかと守り続けられる梨央は幸せだと思う。

そして両親からの最愛。「誰かの正義は誰かの悪。」母親に向いてないと言った梓が見せた記者会見での姿は立派な経営者であると共に立派な母親そのものだった。奇しくも動画の中で息子と娘を守り罪を被った達雄と全く同じ最愛の形。自分の子供のためなら、それがたとえ正しくなくとも何でもするというのは殺された渡辺昭にも通ずる。

全編通してシリアスなシーンが中心だが、嫌いな人参と海老のトレードやカフェのシーン、優の作るご飯を家で3人で食べるシーン等ほっこりする救いのシーンもちらほら。
しかし勝手にハンドクリーム塗ってくる女はウザい笑

ラストは視聴者を苦しみと切なさの渦に巻き込み決して心地良くはない余韻を残す。

「法律の物差しで言わんで下さい。家族の話をしとるんです。」と15年前に達雄に言われた加瀬本人が「法律では守れないものがある。」と自身の仕事や人生自体を否定する程の2人に対する重厚な愛情。

薬の承認が決まった梨央がかけた歓喜の電話の裏で真実を知ってしまった大輝の涙が苦しい。

一番自首をしそうな正義感ある人間なのに何故逃走した。自身のためではなくここまで含めて真実を知らせない彼の最愛の形だったのだろうか。

「私何となく気が付いてるよ、加瀬さんのこと。」と梨央に言われ、「何のことや。」と大輝が組んだ思いでふとそんな風に思えた。
TakuoAoyama

TakuoAoyama