『あの人が消えた』の水野監督作品ということで、放映時振りに再見。
妹の手術費用を工面するため、やむを得ず、銀行強盗をすることになった男。しかし、やって来た銀行には、すでにもう1組の強盗グループがおり……。
日テレで2週連続で放送された前後編の単発ドラマ。様々な登場人物たちの視点から物語が展開され、次第に伏線が回収される気持ち良さのあるドタバタ喜劇だった。
主演を務めた間宮祥太朗さんを始め、伊藤萌歌さん、伊藤万理華さん、ファーストサマーウイカさんなどなど、個性豊かな役者陣によるコミカルな演技合戦がとにかく楽しい。
強盗、外国人、大富豪、弁護士、銀行員といった肩書きでカテゴライズされた人物たち。
次第に明かされる彼らの嘘や秘密は馬鹿馬鹿しいにも程があるのだが、意外性があり、ひたすらエンターテイメントに振り切った展開が面白かった。
秒数をカウントする演出、物語を語り直す構造、潜入捜査など、要所要所で『あの人が消えた』と共通する箇所もあり、新たな発見があった。
最新作のインタビューでは、「人は見かけによらない、物事を見た目で判断しちゃいけない。」という作品のテーマに言及していたが、それは本作にも通底している。
ジャンルは異なるものの、描きたいことは一貫しており、作家性を再認識させられる一作だった。
P.S.
Huluでは、番外編として、伊藤万理華さんが主演の短編スピンオフ「後藤雫の裏事情」が鑑賞できる。理不尽な上司に対するOLの逆襲を描いた本作では、本編では描ききれなかった後藤雫のエピソードが展開。キャラクターの魅力が爆発しており、伊藤万理華さんファンにとっても、必見と言える一作だった。