本作を見て感心したのは、「今、「ONEPIECE」を実写ドラマにするなら」を考え抜いて作られていると感じたから。それは単に、現時点で明らかになっていることを踏まえて物語を再構築するだけにとどまらず、「ONEPIECE」という作品の中にある冒険ものとしての面白さを如何に表現するか、そして、作品の中にある差別の問題を如何に扱うかを指しています。
「物語の再構築」という点では、イーストブルー篇を軸にしつつ、ルフィと対になる存在としてコビーをメイン級として出演させ、作品の中にある「正義」を対比させて描いています。各ストーリーも上手くアレンジされている。アーロンパーク篇が最後になるのは当然ですが、あそこでナミを救う、という原作通りの展開を用いて、ルフィ、ゾロ、ナミ、ウソップ、サンジが「仲間」として一丸になる姿を描く。視聴者はそれまでの工程を見ているし、中々「仲間」にならなかったゾロとナミの姿も併せて、感慨深いものになってるし、「仲間」の重みも強く感じられる。
役者は皆ハマってる。特にルフィ役のイニャキ・ゴドイは本当にルフィで、手が妙に長い感じとか、特に根拠もなく自信たっぷりに突き進む感じとか、原作のルフィを実写にしたらこうなる、を地でいくレベル。他には、新田真剣佑ですよ。完璧なゾロだった。この役者の「実写の落とし込み加減」も絶妙だった。
基本的には大絶賛な私ですが、不満点もある。まず、かなり金をかけていることは分かるが、全体的にチープに見えるところがあった。特に小物にそれが顕著。ミホークの大剣も小道具にしか見えなかったし・・・。後、演出の問題。どうしてもカット割りとか不自然な点があったし、アクションも段取り臭く見えるところもあった。ところどころ泣いたのは事実だけど、それはドラマの演出というより、原作の該当のシーンを思い出して泣いた、という面が強い。ドラマの演出はチープだと思う（ウソップの母が死ぬシーンとかは正気かと思った）。後は街とか建物のスケールが小さいのも気になった。
という感じですが、シーズン2も決定してるみたいだし、次はそこんところ改善してくださいと思う次第です。
