Netflixオリジナル。1980年台に全日本女子プロレスのヒールとして活躍した"ダンプ松本"の伝記ドラマ。
Netflixオリジナルと白石和彌監督の信頼度の高さはあったものの、鈴木おさむ脚本と芸人ゆりやん主演の要素に心配してたんだけど全くの杞憂。現時点までに鑑賞したNetflixオリジナル日本ドラマで1番面白い。
全5話とは思えない濃密で無駄のないシナリオ。松本ダンプという存在を知らなくても、冒頭で登場する強烈な松本ダンプの姿に心優しい主人公がどうなるのかという興味だけでグイグイ引っ張られる。そして松本ダンプになってからは、迫力のある試合シーンの面白さとこの主人公がどこまで行くのかが気になって最終話まで一気見することになる。
このドラマでは、プロレスは"ガチ"ではなくあくまで"ブックがある(勝敗が決まっている)"という前提で作られているのが良かった。ブックがあるって前提だと、試合シーンがつまらなくなるという事にもなりかねないんだけど「ブック通りにするのか・しないのか」という別の緊張感を生み出すことによってドラマとして試合シーンの面白さを成立させているのが上手い。しかもドラマ上で「ブックがある」と明言されることで、逆に「それ以外はガチ」と思い込めるのも大きい。(事実はともかく)
それにブックがあったとしても、振るわれている暴力と流れている血は本物であるからこそ、主人公の試合は勝敗関係なく盛り上がる。それこそが日本中を熱狂させたことにも繋がっているのかなと。
ゆりやんを含めた役者たちの演技と気合いも半端なくて、「芸人だから」とか「有名女優じゃない」とか「昔ゴリ押しされてて良い印象がない」とかの先入観をぶっ飛ばす最高の演技だった。
全然詳しくないのでWikipediaでチラッとダンプ松本について調べたらドラマでも使えそうな面白そうなエピソード(先輩のかわいがり、経営層の不信とか)沢山出てきた。これならもっと長く作れただろうに、あくまで最終回への着地に向けて同期中心の構成にしているのが潔い。
実家へ落書きされているシーンで、2階建ての上の方の落書きって誰がどうやってやったんだと気になった。
最近打率が高すぎるNetflixジャパン。
