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ある日~真実のベールのごnのレビュー・感想・評価

ある日~真実のベール(2021年製作のドラマ)
3.8
見応えのある良作。
話数も少ないので、暗くて辛くても、ちょい我慢したら見終わる。

よくあるストーリー、わかりやすい登場人物ですが、最後まで、どーなるかな、どーするかな、で、見守れる。
あと、リチャードギアの「真実の行方」が、頭をよぎってしまって、いい感じに惑わされた。

前半は事件ものとして、中盤は刑務所ものとして、後半は裁判ものとして、それぞれに山場もあって楽しめる。

事件ものとしては細かい点でツッコミどころは満載やし、尺の都合なのか各人物の背景を描ききってなかったりもするけど、まぁ、それはそれ。あんま重要ではない。

塀の外では三流弁護士が、塀の中では看守らも黙らす王が。
それぞれ別の形、別の角度、別の方法で、信じること、諦めないこと、を、教え、支えてくれるんやが。
極限状態で、どっちに救いの道を見出すのか。どっちがタイミングとしても質量としても、間に合う、のか。どっちも、結果、間に合わなかったのか。と。

主人公含め、全員が、あの日あの時あの一瞬迷った時に別の選択をしていれば、と、いうものがあって、人生難しかーってなる。


映像は、特に、拘置所、刑務所はブルーグリーンなトーンで、静かで怖くもありつつ、ちょいアートで美しい。から、酷いシーンもギリ観てられる。
最後の最後だけ、トーンが変わって暖色になるんやが、それが朝日というより夕暮れのようで、温かさではなく哀愁感が半端ない。
何にせよ、全体的に暗い美、な、感じ。


それにしても、主人公が置かれた状況が絶望的すぎて辛い。同じ状況下で自分が耐えられる気がしない。
それを、主演のキム・スヒョンが、まーーーー素晴らしく表現しきっていて、まじで、それだけでも観る価値ある。し、感受性豊かな人なら、彼の演技が素晴らしいゆえに辛くて観てられないかも。
それくらい、繊細でリアル。
焦り、動揺、不安、恐怖、迷い、気まずさ、希望、絶望、諦観、全てが台詞以外で緻密に分刻みで滲み出て。こりゃ参った。

弁護士役のチャ・スンウォンさんも、いい感じの大男で、不愉快にならないキワキワの薄汚れ感。
ほんとにそういう人かもと思える存在感。
アトピーの設定は、なんのためなのかな。キャラ造りのエッセンスなのか、諦めないで向き合い続ける、の、モチーフなのか。

あと、ソ弁護士が、可愛いし、癒される、いい役だった。彼女だけが、ある意味、しがらみも、計算も、何もなく、真っ白な心構えで、向き合っていた気がする。目隠しをした女神テミスは彼女のことなのでは、な、感じ。

で、なんちゅうても、ト・ジテ役のキム・ソンギュが、無駄にカッコイイ。色気ダダ漏れ。
暗い話の中の救いになりました。
まじカッケー。

BBCドラマが元ネタらしく、観てみたかったが、オリジナルは契約しているチャンネルでは配信がなかった。残念。

正直、刺さるほどではなかったけども、観て良かったし、オチを知ってても、また見られる気がするくらい、サスペンスというより、人間の心理ドラマとして面白味がある作品でした。
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