ヒノモト

17才の帝国のヒノモトのレビュー・感想・評価

17才の帝国(2022年製作のドラマ)
3.6
昨日最終回を迎えたNHK総合で全5回放送されたテレビドラマ。
日本のドラマは忖度が強く、ほぼ壊滅的なので見ないのですが、物語に引っかかりがあったので、今日全話観終わりました。

ざっくり説明すると、AIによって選ばれたリーダーによって、衰退した都市再生させる実験を行うのですが、そのリーダーとして選ばれたのが17才の高校生だったというお話。

全体的には、決して悪くないし、AIの可視化として、リーダーとしての首相の支持率や幸福度の数値化、ハードルを下げる意味でのビジュアルが共有化できる眼鏡や指輪による操作などのガジェットとしてすでにあるものとその少し先にあり得そうな見せ方としてはわかりやすい。

人間ドラマとして、17才そ首相を中心とした若い世代だけの小さな政権グループと本来の日本政権、その間を取り持つ中間層のバランス、純粋な理想から世間のしがらみや圧力、欲望にまみれていく現政治家たちとの描き分けも分かり易く作用していて、見やすくもあった。

しかし、AIなどCGIの使い方や、SF的な要素のビジュアルは、NHKだからなのかはわかりませんが、生真面目すぎるところと、ドラマならではだと思いますが、照明が明るすぎる&カメラが鮮明すぎて、ロケセットがチープに感じてしまうところもあった。

オープニングカットやエンディング曲の映像はビビットな色使いや明暗がしっかりつけられているのに対して、本編はとにかく明るくてセットのつくりにばかり目が行ってしまいました。

SF表現については、人間ドラマと対極で、日本人がSF設定を演じることの違和感が見え隠れしていて、残酷な言い方をすれば、アニメでやってくれたほうが、設定にしても台詞にしても相性がよかったこともと感じるところが少なくなかったです。

脚本を担当された吉田玲子さんもドラマよりもアニメの脚本のほうが傑作は多くあるし、挑戦的な内容ではあるものの、SF的要素の部分だけ気になりました。

人間ドラマと政治的思惑とパーソナルな思いが交差した物語は、それなりに分かり易すぎるところはあるもののそれなりに楽しめたのですが、人物描写としては意外と画一的で、若者側の考え方と高齢者側の考え方の対立は既視感がありすぎて、物足りなさは残りました。

今旬なキャスト陣が気になる方は、それなりに見応えはあると思いますし、見る人によっては新鮮でリアルに感じられる描写もあると思います。
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