てつこてつ

今、私たちの学校は...のてつこてつのレビュー・感想・評価

今、私たちの学校は...(2022年製作のドラマ)
2.0
とりあえず、一気見した貴重な12時間を返してほしい・・。

ゾンビ物のサバイバルアクションスリラーで12話引っ張るのには、相当きちんとした脚本でないと飽きてしまうというもの。

ウェブトゥーンが原作というのも納得のとてつもない底の浅いストーリー展開に薄っぺらなキャラクター設定。そのくせ、残酷描写だけは一丁前だという、自分には最も合わない内容であった。

いくら製薬会社勤務経験があるといっても、普通の高校の理科の教師が、あんなちゃちい設備で凶悪なゾンビウィルス作れるんかい?おまけに、もう二度とイジメられないようになんて安易な理由で、ひょっとしたら命も脅かす副作用があるかもしれぬウィルスを、いきなり我が子に点滴注射するかね?こういったウェブトゥーンならではの無理めの設定に付いていけない、いくら非現実味を前提として楽しむべきディストーピア物にでも、ある程度の説得力を求める自分のようなタイプの方には、やはりお勧めできない。

第一話で人里離れた場所にある高校で続々と感染者が拡大し、教室の窓をぶち破って次々と飛び降りるあたりの描写は迫力あり。が、二話以降、全く話が盛り上がらないばかりか、同じ流れの繰り返しで間延び感がハンパない。

主軸となる高校生グループはさておき、それ以外の登場人物の描かれ方が中途半端。アーチェリー部の一行、国会議員のグループ、事の真相を知る刑事とか、ぶっちゃけ無くても良かった存在。学校に残された娘の救出に奔走するレスキュー隊長とかも三話に一度くらいのペースで忘れた頃にチョイと顔出す程度で、とにかくキャラクター設定の詰めが甘い甘い。

自分が知る限りでは、ビッグネームがキャスティングされておらず、高校生グループの面々は、韓国ドラマとしては珍しく飛び抜けた美女やイケメンが登場しないのは、それはそれでリアリティが感じられていいんだけど、大人役のキャスティングは、地味なだけでなくキャラクター設定とは合わない容貌のミスキャスティングが気になった。レスキュー隊長の父親とか、もう少し渋いイケメンでも良かったと思うし、軍隊の司令官の役者には、もっと凄みや圧がある俳優使わないと・・。

ストーリー展開も無理があって、噛まれてもゾンビ化しない新種ウィルスが、ある特定のキャラクターにしか感染しなかったり、その人物に噛まれた者の中でも同じようにゾンビ化しない者、普通のゾンビとなってしまう者とバラバラだったりと、設定の破綻が目に余る。袴田吉彦似のいじめっ子のキャラもクドいクドい。

冒頭に飛び降り自殺を図ろうとした女子校生や、ウィルス研究の対象とされ拘束された隊員なんて、途中から突然居なくなってしまっているし。

伏線ばらまけるだけばらまいておきながらも、全く回収しないという、最近見てきた韓国ドラマの中でも飛び抜けて酷い出来。最終話なんて、完全に蛇足で不要なエピソード。きちんと話が完結し、おそらく第2シーズンは確実に製作されないであろうと分かることだけが唯一の救い。

同じようなテーマでも「キングダム」とか尻上がりに話もスケールも盛り上がっていった素晴らしい出来だったのに本当にガッカリ。

そもそも12話構成に無理がある。無駄なキャラクターを削ぎ落として6話完結だったら、もっと面白くなったかも?

Netflixの作品紹介で使われている高校生役のメインキャストたちの前でピクピクと動く死体のティーザーが一番出来が良い。
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