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30までにとうるさくてのkoheiのレビュー・感想・評価

30までにとうるさくて(2022年製作のドラマ)
4.7
やっと追加されたぁ。2022年の最重要ドラマ。めっちゃフェミニズムでめっちゃポップ、極めてエンタメでちゃんと政治的な日本独自のセックスアンドザシティ、現代のショムニ、は違うか。自分みたいなものがおすすめするのはおこがましいほど、視聴率50%とっててもおかしくない(Abemaだけど)今の時代の本当に面白いドラマ。今のところ4話が最高によかった。脚本は劇団「贅沢貧乏」主宰の山田由梨さんです。2019年の同じくAbema『17.3』はこの日本でセックスエデュケーションをやってみせていた。

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⑤第4話は「人があんな悩みの吐き方をするドラマ今まで見たことない、すごい」と思ったけど、第5話はそこを受け継ぎつつ「こんないい親、ドラマで見たことない」「幸せを諦めないこんな顔、今までドラマで見たことない」につながっていった。映画で描かれる「いい親」は、だいたい「いいこと」を言ってくる。でもこのドラマでは、ただ自分の弱さをさらけ出す。経験でものを語らない人ってすごい。憧れる。

⑥予告見て次週が待ちきれないドラマ、何億年ぶりでしょうか…。トレンディ〜00年代ドラマのドラマ的な高揚感を残しつつ、確実に現代の話をしてる。

⑦すべてがうますぎて見逃してしまうのだけど……例えば、友だちに誘われて食事に行ったら思いがけず自分が人生の指針を得てしまう一連とか、本当に群像劇としての脚本が素晴らしい。佐藤玲とかも、あの選択に至らせるまでの揺さぶらしが絶妙で、幸せになる絶対的な正解ルートのなさを思わせたなかでの、「30歳、どう生きれば幸せになれるの?」という最終回予告。まじで最終回なの?こんな浮遊した気持ちで最終回を迎えるドラマ久々すぎる。

⑧最後まで切実にリアルで、それ以上にぶっ飛んでるところもあって、これは(自分の思う)理想形のドラマだと思う。遥が横の男性にときめいて終わる感じとかは完全にいらないのだけど、そういうのも含めてエンタメすることに成功していた。ぶっ飛んでいるだけではどうしようもない。でもずっと現実的な物語が描かれているから、ファンタジーな装飾はむしろドラマを見やすくした。
とはいえ最終話はちょっと気になる点もある。このドラマがずっと描いてきたのは「一緒に考えよう」という結託だったはず。4人それぞれの悩みにみんなで意見を出し合って解決していく。遥とそのパートナーが話し合って問題を解消するシーンが特に印象的だった。そんなドラマだったのに、最終話は「事後報告」が多すぎるように思った。あとちょっと時間が足りなかった…。贅沢貧乏『わかろうとは思っているけど』から一貫して山田由梨さんは「わかろうとは思っているけど、どこまでもわかりあえない、でもわかろうとしたい」という態度をずっと描いていると思う。その意味で4、5話あたりはベストエピソードだった。
https://bsk00kw20-kohei.hatenablog.com/entry/2019/03/05/013320
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