歩実(貫地谷しほり)と泰輔(三浦貴大)が出会ったのは同じインテリアデザイン会社で働いていた13年前。結婚を機に一級建築士だった泰輔は独立するが、仕事人間で無趣味の泰輔との日々はお互いのことを知り過ぎてしまっているせいか、マンネリ気味で交わす言葉も少ない。ある日、歩実が若手デザイナーと打ち合わせの際に、ふとめくった雑誌の写真に目がとまる。そこには、やはり13年前にお互い好意を抱きながらも別れた元カレのカメラマン風見光太(渡辺大知)の名前があった…。
高校生の頃から地味で裏方気質の咲良(高梨臨)は、結婚式のドレスコーディネーターとして慌ただしい毎日を過ごしていた。そんな咲良の楽しみは3年前の飲み会で偶然知り合い仲良くなったシンガーソングライターの亮輔(結木滉星)の路上ライブを見にいくこと。友人の菜美子(石川恋)にも相談するほどの淡い恋心を抱いていたのだが、ある日の仕事中、突然、亮輔から携帯に「ドレスを選んで欲しい」とメッセージが届く。すると驚いている間もなく、お店の入口には笑い合う亮輔と真理子(安野澄)の姿があった…。
絵を描くのが好きで、泣き虫だが優しい性格の息子の陽翔。母親の美月(新川優愛)は息子が甘えん坊過ぎるのではないかと心配しているが、父親の直樹(笠原秀幸)はそれほど心配してはいない様子。だが、今日も幼稚園に迎えに行くと聞こえてくる大きな泣き声…。ある夜、美月は明日のお弁当の買い物に出かけるが、空は今にも雨が降りそうで雷が鳴っている。急ごうと自転車のペダルを漕ぐ足に力を入れた瞬間、あたり一面が明るくなると同時に激しい音が響き渡る。そっと目を開くと、なんとそこには18歳になった陽翔(望月歩)がいた…。
大手保険会社に勤める清一(吉沢悠)は転勤先の支社でチームリーダーに抜擢され、なかなか成績が伸びない部下の指導にあたるなど、新しい環境に翻弄されつつ多忙な日々を過ごしていた。私生活では6歳になる一人息子の縁の自転車の練習に、妻ののどか(紺野まひる)とともに付き合うが、補助輪がないことを怖がっているのか何度やってもうまくいかない。そんなある日、妹の綾香(小島藤子)から30年前に突然姿を消した父親が見つかったとの連絡が入る…。
東京郊外の街の夕方。薫(土村芳)は、仕事を終えていつものバスで帰宅していた。特に不満があるわけでもなく過ぎていく毎日…。地元の友達ともなんとなく疎遠になり、会社でも仲良しはいるが友達とは少し違う。かといって、新しい友達、仲間との出会いも無い。そんなある日、車両トラブルでバスが停車してしまう。途方に暮れて、しかたなくバスを降りるが、そこにはいつもバスの中で顔を合わせている同年代の二人の姿が…。薫が意を決して真理恵(前田亜季)と宏実(足立梨花)に声をかけたことから奇跡の一日が始まる。
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