マウム

アンナ ディレクターズカット版のマウムのレビュー・感想・評価

4.4
"泣くのは早い、これからが地獄よ"

悲しい悲しい地獄だった。
ユミは幼い頃から欲が人一倍強く、やると決めたことは必ずやり遂げる。そんな彼女の人生がひとつの嘘から狂い始める、、

印象的な演出やセリフがたくさんあったこの作品。中でも彼女の地位が変わるたびに登場する靴のシーン👠どんどんヒールが高くなっていくのに本物のアンナと対峙したときには低いヒールを履いているユミ。結局お金持ちになっても心の貧しさ、劣等感みたいなものは昔から何も変わっていないんだと。
あとはエスカレーターと階段の対比。本物のアンナは生まれながらのお金持ち。大した苦労もなく地位と名声を手に入れるのに対して、ユミはひたすら自力で苦労しながら自力でのしあがって行く。そんな苦労を重ねても結局本物のアンナを越えることはできない。(ユミの部屋:23F 本物のアンナの部屋:24F)
この辺りの演出が絶妙でさすがでした👏

彼女の人生は嘘で塗り固められたものだったかもしれない。でもその人生を選んだ彼女の数々の努力と苦労だけは嘘じゃなかった。彼女の人生そのものが虚構という一言で片付けられてしまうのはあまりにも辛い。
どうか幸せになってほしいと願わずにはいられなかった。

最後に作中で出てきたユミらしいセリフを記録として。

"大した人間じゃないって気づく方が楽に生きられるのに"
マウム

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