はつみ

エルピス—希望、あるいは災い—のはつみのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

めちゃくちゃ久しぶりにリアタイで追いながら見たテレビドラマ。
どんなにネットで検索しても、ネタバレがないってやっぱり良いですね。

日本のテレビドラマを見るという習慣がなくあってものちに話題になったり評判がいいのを聞いて一気見することが多かった。

今作はたまたまTwitterで脚本家の人のこのドラマのインタビューで知った。
清水潔『殺人犯はそこにいる』を2年前ほどに読んで衝撃を受け、それを参考文献にしているこのドラマに興味を持ち視聴開始。

映画『新聞記者』のように終始シリアスではなくテレビドラマとしての面白ポイントを抑えつつ、先の見えない展開には最後まで楽しめました。

主演・長澤まさみ(浅川恵那)とあるが実質の主人公はゴードン(岸本拓郎)に思えた。
最初ゴードンの顔と声が合ってなくてずっと違和感だったんですが、見ていくうちに慣れてきて今では全然気にならなくなりました。
何より岸本くんの活躍が本当に私はがむしゃらで好きだ。
最初は自分の保身のためにやり始めたことがいつしか、自分がどうなろうと真実を突き詰めていく姿。

8話の浅川恵那に裏切られた時の涙と絶望のシーン大好きです。
恵那の「正しいことをしていれば道は開けるし、人はついてくる」という言葉のまま行動したのにすればするほど、岸本はどんどん孤独になり周りは敵だらけに。
信じていた人から裏切られるということは、希望を無くすこと。


恵那に関しては割と微妙だなと思いところが多かった。フライデーぼんぼんにゲリラで八頭眉山連続殺人事件取り扱ったり、最終回の覚醒はそりゃあ好きだけど、それ以外が結構うじうじしてる印象。序盤はなんかあったらすぐ斉藤さんに絆されるし、ニュース8のキャスターになってからは岸本くんが頑張ってる時に蔑ろにしたり。
いや、ニュース8に配属させること自体が抑止力になってしまい、恵那がくっしてしまうのもわかるのですが…。
でも、最終回は本当に良かった。
岸本の「殺されますって!マジで!」に対して「なんで殺されなきゃならないのよ!」という返しはこのドラマで一番胸に刺さった言葉かもしれない。
その後のニュース8で強姦揉み消しの件を同僚に言う時の笑顔とか好き。

村井さん
まさか、村井さんのことをこんな好きになるなんて1話では想像もしてなかった。
岸本や恵那が動くずっと前から真実を追求し争い続けていた人。
9話のラストでニュース8に殴り込んだシーンは本当に恵那と同じ気持ちになった。
きしょい嘘だからけの報道番組を文字通りぶっ壊しにきてくれる救世主に見えた。
セクハラパワハラは最低だけど。


最終回ラストの牛丼食べてるシーン超良い。
食べる=生きる
こんなにも普通に美味しそうに牛丼を頬張れることがこのドラマでは当たり前ではなかった。だからあのシーンはすごく感動したし、あの村井さんきた時の二人の笑顔最高!

最終回がグレーなまま終わるのもらしくて良い。
松本さんの件は究極の取引の末、解決したがその代わり強姦揉み消しのはそのままで、大門は変わらず今も政治家としている。

年代が2018年設定だったので、ラスト現代2022年になって、斉藤があの時のアンサーをくれるかと思いきや、それがなかった。
ドラマとしてはモヤるけど、この問題は決してドラマ内だけではないということだろう。

恵那と岸本が最後まで恋愛的なことにならないのもめっちゃ良い〜。下手なドラマとかなら斎藤から岸本へと乗り換えたり、岸本の恵那への眼差しが一歩間違えれば恋愛的なものになりかねないのに最終回で恵那が岸本を抱きしめても、最後の最後までずっと戦友だったのほんと良い〜〜。

いや〜めっちゃ楽しい3ヶ月間でした!
はつみ

はつみ