相当攻め込んだ内容になってて驚いた。エンタメが日本の腐りきった政治に切り込んでるのは素晴らしい事だと思う。
一話の仮面ライダー世界の差別構造と現実世界とのリンクのさせ方が引き込まれる出来栄えでワクワクした。これは相当すごいぞという思いを抱いて、ハラワタを仮面ライダーが引き摺り出すという鬼畜すぎる倒し方も衝撃的で好き。
ルー大柴のムカつく答弁の仕方はハマっててすごい総理っぺぇ〜…って笑えた。
けど時系列前後するストーリーテリングの難しさを感じる理解が追いつかない箇所も多々あり、理解はできるが感情は追いつかんという瞬間も多かったのが残念。正直中盤から混乱をきたして見出したから最後まで付き合うという程度に気持ちは下がっていった。
キャッシュトラックは時系列と視点を前後させる事である種意図的に隠してたストレートな道筋を浮き彫りにさせる作りになってて、多分同じ事をやろうとしてるんだけど主人公らを含め色んなやつの過去をそこに詰めてキャラの意味づけを深めようとしてるのが欲張りすぎて結局散漫になってるような気がした。
長い時間をかけた闘争の話だから仕方ないのかもしれないが…
加えて、本作かつての学生運動の波動でアジテーションしようという企み自体が中々物騒で、グレタ的キャラが視点キャラ兼ヒロインであるのは面白いが彼女が結局武力闘争に至る様は中々痛痛しくもある。それでも戦いが必要だとエンタメで叫ばれる作品の少なさに見える、日本の危機感とやる気の無さとあらゆることを発信する自由度の低さを考えると、やはり最後に至るのはこの俺の拳一つよという気持ちにならなくもない。思想はまだ咀嚼中だが気概のある作品だというのは伝わる。
学生運動を時代背景に展開する物語が個人的にはフェチなのだが、正直本作のそこに関してはピンとくるものがなく、フェチを感じられなかった。
