fusakichi72

いつかの君にのfusakichi72のネタバレレビュー・内容・結末

いつかの君に(2023年製作のドラマ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

もっと面白くなるはず!
と、勝手なことを思いながら観終わったけれども、タイムパラドックスのストーリーを一回りさせてくれたから、基本的には面白かったというべきなのだろう。

だから気になったところをあげつらう気にはあまりならないのだけれど、それでも言いたいことが二つほど。

一つは、やっぱり「改変前の過去」は最終回の前に終わらせて、最終回で「改変後の現在まで」を、もっとあれこれ丁寧に回収して欲しかった。

もう一つは、この「あれこれ」の一つとして気になってしまうことでもあるのだけれども、事件が「解決」されて、未来からの干渉がなくなったク・ヨンジュンの人生が、かなり辛い。
我々が見た、生き生きとした彼の姿は殆ど全てが、ナム・シホンのもの。
では確定したヨンジュンの人生は?
やっとのことで親友と両思いだと確信が持てた瞬間に彼は事故死、自分も重い障害を負って生きるというものだ。
シホンが杖をつきながらも歩けるようになったのは、(ハン・ジュニとの再会を目指して)過酷なリハビリに打ち込んだから、という描写があった。
ではテハを失ったヨンジュンは何を励みに歩けるようになるというのか?

テハはしばらく意識不明(のち回復)、くらいじゃダメだったのかなあ。
怪我を負ったヨンジュンと、意識を取り戻したテハが寄り添って生きる「未来」を最終回でさらりと映してやってもいいじゃない。
彼の人生も何某か拓けていく、ということを描くためにも、やっぱり最終回は改変後の未来にまるまるあててほしかった。

本筋で「陽キャと入れ替わるだけでは陰キャは救われない」というテーマも取り込んだのに、予備校時代に内向的でモジモジボソボソ喋るヨンジュンは過酷な人生の中に置き去りにされたままなのは、ストーリー上さほど小さくない瑕疵のように思われてくる。
「全部が繋がった」「伏線回収」の輪から、実はク・ヨンジュンだけが取り残されている。そりゃないよ。
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