fusakichi72

私たちのブルースのfusakichi72のネタバレレビュー・内容・結末

私たちのブルース(2022年製作のドラマ)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

良かったが、人生ドラマではない、と言う感じ。

初回の「お前も喜んでただろ」から始まるウニの初恋なんかは、とてもしびれる。
「ウニ、2人で旅行に行こう」と言うハンスを、心配そうに若ハンスが眺めるシーンとか、とてもいい。
高校生カップルの好演も光る。
最初が「人生ドラマ」を予感させたものだから、どうしても惜しいところが目立ってしまった。

若者の妊娠、ダウン症、ろうの人を「それぞれのブルースの一つ」として取り上げるのも、果敢だし、それぞれの役者が好演。
ただこの3者に対する掘り下げは少し弱い。
「胎児を殺しては可哀想」は、分かるけどギリギリだ誤ったメッセージに踏み込んでしまうし、「私も耳が聞こえないの!」とダウン症の人に自己紹介するところなども、「障害者同士は分かり合える」の一歩手前でやばい。
総じてこの人たちにとって済州がユートピアのように描かれてしまっている胡散臭さ、もう少しの工夫でなんとでもなっただろうにと惜しい。

一番期待はずれだったのは、キム・ウビン!
薄い、あまりにも薄い。
演技巧者のハン・ジミンが相手役だから気の毒なのかもしれないけど、ジミンが「閉ざした心を開くが故に深まる苦悩」を7段変速くらいで演じ分けてるのに、ウビンはずっと一本調子。船の上で浮かれるところも、画面いっぱいにならない。
無名の弟の方がまだ色気があった。
ウビン、頑張って!

イ・ビョンホンはどっしり安定の演技。
彼とキム・ヘジャの組み合わせだと、大トリをとって三話連続もしょうがないのかな。
私はもっと圧縮してもらいたかったです。
(山に登る前に家に帰るシーンとか省けるでしょう。かえってダレた。)
それでもビョンホン、ヘジャ、そしてコ・ドゥシムが絡むトラックのシーンなんかは見応えがあるし、アジアを代表するいい役者だと思う。
だからこそイ・ビョンホンは、もう40代の役はやめて、50・60代の格好良さやみっともなさを表現してほしい。
同窓会でみんなをヒョン、ヌナと呼ぶけどどう見ても大先輩。イカゲームでも「数週間前まで就職浪人で、あの警察官の兄さん」はコン・ユでもギリギリだろう。
せっかくの名演も、余計なところで視聴者に補正を強いるから、変に信憑性が薄れてしまう。
今回も、「キム・へジャの長男(で近所でも1番の先輩格)」「シン・ミナよりミランに近い年回りの相手役」といった設定だったら、もっと自然だったはずだ。
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