ベビーパウダー山崎

FARGO/ファーゴのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

FARGO/ファーゴ(2014年製作のドラマ)
3.0
これは実話である、というデタラメな「嘘」から始まるのは映画と同じ。映画と無理やりリンクさせるようなくだりは、なんだか恥ずかしくなる。『ファーゴ』だけではなく、コーエン兄弟の二次創作のような場面やキャラクターがぞろぞろと。
『ノーカントリー』のシュガーそのまんまな殺し屋をビリー・ボブ・ソーントン。哲学的で謎掛けしたり、まあこれはコーマック・マッカーシーの世界観なんだが、その異物を『ファーゴ』の間抜けな田舎者社会にねじ込んでもギクシャクするというか、切れ者の殺し屋と知恵遅れ的な住人たちが、いざ向かい合ってもさあ。
ドラマを見て、別にそれほど好きでもなかった映画版『ファーゴ』を、それなりによくできた物語だっんだなあと今さら評価したくなったり。薄い糸で繋がる間抜けな輩たちが欲や俗で格好悪く崩壊していく笑えないブラックジョークをコーエン兄弟は徹底して描いていた。
頭を使って生き延び、無情に殺していくから、そのキチガイな殺し屋が魅力的なのに、機関銃片手に一人で組をぶっ潰すまでいってしまうと、それはもう超人の域、冷める。