サトタカ

FARGO/ファーゴ シーズン3のサトタカのレビュー・感想・評価

FARGO/ファーゴ シーズン3(2017年製作のドラマ)
3.8
シーズン3に限らないが、ファーゴに毎回出てくる「この物語は事実に基づいている」というくだりからして、この腐敗した(この言葉使うと鬼束ちひろ感半端ないw)現代の資本主義社会において、「事実」とは何か?我々は何が事実で何がフェイクなのかもはやわからない曖昧模糊とした世界に生きているのではないかという根源的なテーマ、問いかけがある。テレビにパソコンのモニターに、スマホのディスプレイに映し出されている情報は、事実だと思い込まされているだけで、どこかの黒幕が流すフェイクではないのか?

ともすれば陰謀論になってしまう「疑問」かもしれないが、ただただ目の前で流れるニュースに脊髄反射しているだけで疑問を持たないのは、結果的に力を持つやつらにとっては好都合なのだ。

ファーゴ・シリーズの中でも飛び抜けて薄気味悪いV・M・ヴァーガ(デビッド・シューリス)は、人の心に善があるのが問題だとまで言う。悪しかなければ世の中はもっとシンプルになると。
やたらと例え話をしてくるサイコパス、怪人キャラのヴァーガは、終戦後も大日本帝国の兵士としてフィリピンのルバング島で20年も一人で戦った小野田さんの話まで持ち出してくる。
小野田さんは日本の敗戦という「事実」を知らず、自分の中の善、日本のために戦う兵士を続けることを選んでいた。
彼の行動は日本人なら心を打たれるが、そうでなければ、単に事実を把握できず、(結果的に)歪んだ自己理解によって愚かしい振る舞いを続けたかわいそうな男になるだろう。

ヴァーガを悪魔(ベルゼブブ?)的な立ち位置とすれば、ニッキーに子猫を持ってくるポール(レイ・ワイズ)が天使なのだろうか。
キリスト教からしたら常に神、天使側が勝つはずなのだが、シーズン3ではそこは濁されていた。

プリズン・クイーン(刑務所内の抜きん出た美人)と言われるセクシーなニッキー(メアリー・エリザベス・ヴィンステッド)と、開けっぴろげな性格の女性警官ウィニー(オリヴィア・サンドバル)の二人のキャラが非常によかった。

悪評も多いシーズン3だが、ファーゴファンなら観ておいて損はないと思う。
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