Fumi

キラー・ビーのFumiのレビュー・感想・評価

キラー・ビー(2023年製作のドラマ)
4.6
「これはフィクションではない。実在の人物や出来事との類似性は意図的だ」から始まるこのドナルドグローヴァーのドラマにハズレなし。
ビンジしてしまった。

とはいえテーマがかなり重い。ただのティーンドラマだと思っていたら肩透かし喰らってしまうだろう。

いわゆるポップスターの熱狂的なファンの少女ドレの物語。自分の好きな物を否定されたときSNS上で言葉で攻撃したりすることそのものを視覚的に見せられる。かなりキツイ。ポップスターに限らず、SNSの悪しきアルゴリズムにより自分の好きなもの興味のある物、考え方、もっといえば思想が強固になりその行き着く先の悲劇、虚無。

ビリーアイリッシュ出演回も良かった。シスターフッドという名のただの洗脳コミュニティを描いた作品が他にあるか?

ここまではっきりと皮肉的に描いたドラマは今のところないだろう。

テーマだけでなくアメリカの乾いた空気感を捉えた映像や音楽もめちゃくちゃいいしとにかくこれをエンタメ的面白さに昇華するところがたまらない。

他のクリエイターが作ったら陳腐になりそうだがこれはチャイルディッシュガンビーノとしてのキャリアがあるからこその説得力でもあるのだろう。
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